坂本龍太朗のワルシャワ通信(9月20日〜9月27日)

9月20日

今回ウクライナに搬入したものは小学校の防空壕に常備するためのお菓子。学校に通えるのは防空壕に入れるだけの一部の子どもたち。ミサイル警報が鳴った場合、解除されるまで長時間防空壕で過ごさなければならない。そんな時にそこにクッキーが1つでもあったなら、子どもたちにとって恐怖の中の希望となる。賞味期限は来年だが、それまでに避難する必要がなく、子ども達も全員が学校に通えるようなウクライナになることを願う。

9月21日

・医療物資支援第四弾(28セット) 、第五段(20セット)
・~ファシリモ こども基金企画~
・最近は劣勢にあるロシア軍によるダムや発電所などインフラに対する攻撃が増えている。今までも戦争犯罪を重ねてきたロシアだからそう驚きはしないが、それによって多くの人が住む場所を追われている。ダムへの攻撃で家が浸水すれば住めなくなるし、電気がなければ冬を越すのは難しい。民間施設への攻撃が増えるということは民間人の犠牲も増えるということだ。医療パックを大量に送ることでより多くの命が救われることを祈るのみ。

9月22日

・最近、ワルシャワとウクライナへの国境間を走る高速を運転していても、ウクライナナンバーのトラックが明らかに減ってきた。ウクライナでは食料もまだまだ必要とされているので心配ではある。
・最後に見たのは国境へ向かう戦車二両だった。レッカー車に乗せられ、前後に真っ黒のパトカーがサイレンを鳴らしながら誘導している。もちろん、赤信号でも止まることはない。
・実際、いくら人道支援を入れても戦争が続く限りはこの支援は終わらない。根本的な原因である戦争を終わらせなければ苦しみは増すばかり。ロシアでは囚人も多く動員されているが、レイプ犯などをウクライナに放ったら、そこに住んでいる女性たちにどんな悲劇が起きるかは容易に想像出来る。

搬入される戦車を見ながら、早くウクライナからテロ国家を追い出してほしいと強く思った。

9月23日

ついさっき、ウク娘から送られてきた作品。

・医療物資支援第六弾(60セット) 、第七段(15セット)
・~ファシリモ こども基金企画~
・購入している医療物資はこの7ヶ月で構築してきたルートのうち5つを使ってウクライナに搬入。ただ、ここ最近は防寒具の要請が増えてきた。当たり前だ。今月中にウクライナでは場所によって雪の予報も出ている。
・ポーランドも他人事ではない。最近は燃料費の高騰が理由で、公立学校でもオンライン授業に移行する場所が出てきている。学校のエネルギー代を行政が払えないためだ。今年はポーランドも寒い冬になるだろう。

・それでも、今年は4月でも雪が降っていた。2、3、4月と極寒の支援をもう経験している。この冬を最後にしてほしいものだが、隣国の苦しみを考えれば文句を言っている暇はない。

9月24日

・夏休み中、自宅にいるわけではないが、旅行しているわけでもなく、近くに友達もおらず、不自由な避難生活を送りながらウク娘たちが描き続けた絵。そんな中から10枚を長野県坂城町に郵送。国際郵便は戦争が始まってから相当混乱しているが、届いてから展示会をしていただける。その後、長野県千曲市でも展示会の機会をいただいた。

・娘たちはいつも「助けられてばかりで私たちからは何も出来ない」と不満を口にする。本当はこっちが助けている以上に僕が助けてもらっているんだけど。そもそも支援はさせてもらっているもの。支援を受け入れてくれる人がいなければ、いくらしたくてもできない。日本からいただいている支援金と、周りにいる多くのウクライナのみなさんがあってこそ、支援を許されているのが現状だ。

9月25日

・クレメネチ市議会より感謝状をいただいた。ロシアによるウクライナ侵略の最中、戦時体制下にいる子どもたちへの支援に対して。
・先日、ここの子どもたちのオンライン授業に参加した。ウクライナ語の授業だったが先生がいる学校のインターネットが落ち、zoomには子どもたちだけが残されて世間話をしている。放っておけず、私がウクライナ語の代わりに日本語を教えた。10分ほど教えたら、次は子どもたちがウクライナ語のアルファベットを教えてくれた。ウクライナにいる子どもたち、みんな元気そうに笑っていたのでとても安心した。この笑顔を守り抜くのが大人の責務。

9月27日

・医療物資支援第八弾(24セット) 、第九段(4セット)
・~フェシリモ こども基金企画~
・届いた医療物資は数を確認し、振り分け、ウクライナに送る。窓口は以下の5つの街である。
・クレメネチ
・ザスタブネ
・ズボフモスティ
・グリニャニ
・リヴィウ

・医療物資が全く足りていないというウクライナ側の切実な話を聞く度、思うことがある。赤十字は何をやっているんだろうと。日本赤十字には億単位のお金が集まっている。その報告はあるが、どこにどれだけ使ったのかは分からない。国際赤十字などに送ったのかもしれないが、それも最終的にどうなったのか分からない。いくら集まったという報告に合わせ、いくら、いつ、どこで、誰のために使ったのか、いくら残っているのかなどを知りたいのは赤十字に寄付した人ならだれでも思うことではないだろうか。

軍事支援は国家やNATOに、医療支援は赤十字に、教育支援はユニセフに、その他機動的な人道支援を我々民間がと思うが世の中そんなにうまくいかないのだろう。

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