坂本龍太朗のワルシャワ通信(5月26日〜5月31日)

5月26日

1の感謝に対し2の感謝で返すと、数日後に3の感謝が帰返ってくる。巡り巡ってそれは多くの命を救う力になる。
最近は6月11日に予定されているウクライナへの物資搬入に向け、奔走中。

・これは今日届いて、その1時間後に必要としていたこの女の子に届けたパソコン。忙しくて写真は全く撮っていなかったが、こういう使っている写真を実際にいただけるのはありがたい。
・彼女は美術を学んでいる。今までパソコンがなくてずっと大変だったことだろう。ここから、また夢を追いかけ始めてほしい。

・リヴィウから避難してきているオクサナが一般向けに「ウクライナとポーランドのつながり」について発表してくれた。
・彼女はもうこちらに来て長く、ポーランド語もできるので私たちもとても助かっている。ポーランドとウクライナ両国の起源、同じような伝統、習慣、歴史、物語など興味深い話ばかり。
・ここ、実は私が以前「日本とポーランドをつなぐ歴史」というテーマで講演会を行った場所と同じ。彼女も僕も外国語であるポーランドで発表するという点で、恐らく緊張感も同じだろう。

・いつか、平和になって時間ができたら「ウクライナと日本をつなぐもの」を知るための学習も深めたいと思う。ただ、今はそんな余裕はないし、勉強をする時間は支援に使いたい。恐らくその支援は長い目で見れば「ウクライナと日本をつなぐもの」になっていくかもしれないし。とにかく支援を通したウクライナの親日化は私が最終的に目指すところである。こうやって世界中が親日国になれば、日本は他国と戦争する心配をしなくてよく、私たちの次の世代は平和に暮らしていける。そこには必ず人が必要なわけで、今はとにかくできるだけ多くの命を救うことが第一優先。安全はないから安全第一なんて言ってられない。とにかく生命第一。

日本から届いたウクライナ語の絵本「へいわって、どんなこと」。これからポーランド国内の小学校、そしてもちろんウクライナにも届ける作業に移る。

5月27日

・ウクライナから大量のお菓子とマヨネーズ、ケチャップをいただいた。心していただかなければならぬ。
・ウクライナのチョコレートやマヨネーズなど、これがまたポーランドやその他西欧で手に入るものとも、そして日本で食べられるようなものとも違う。一番似ているのはやはり私がベラルーシ時代に味わったものだ。そのため、ウクライナのお菓子を食べると意識せずともベラルーシ時代を思い出し、懐かしく感じてしまう。

5月28日

・支援を続けていると10大変なことが続くがその後突然100ぐらいの感動が現れる。これは10の大変なことを続けていないと決して出会えない感動だし、その空間、その時間を共有していたとしても、そこまでの大変さを知っているか知っていないかで全く異なる印象を受ける。それは歴史を知った上で京都に行くのか、全く知識なしで行くのかの違いに似ているかもしれない。

・ウクライナ人のオルガ、そして日本人の私の2人で、ポーランドのシベリア孤児記念小学校で支援報告。今までどのような支援をし、それが誰の手を経てどうどこに届いているのか。これから何を搬入する予定でそのために今何をしているのかなどを伝える。これらの支援をウクライナ人の彼女と日本人の私が中心に、外国であるポーランドで行っていることを時たま考えてしまう。

・小学校で報告会をした後そこにいた子供たちと集合写真。みな、それぞれウクライナに対して想いを持っている。私たち大人は、たとえ手間がかかり、時間も余計にかかったとしても子供たちを支援の輪に巻き込んでいかなければならない。今だけならいいが、支援が年単位になることを想定し、彼らも即戦力として育てていく必要がある。

5月29日

・人によって大切なものは異なる。書道家によっての筆、太鼓家にとっての撥、ウクライナの子供たちにとって平和。私にとって、今回いただいこの旗はこの3ヶ月で1番大切なものになった。人によってはただの布かもしれないし、ロシア軍にとっては攻撃対象だろう。しかし私にとっては宝物だ。
この旗をくれたのはウクライナ在住で、私が会ったこ話したこともない人々。左上にポーランド・シベリア孤児記念小学校への感謝。右上に日章旗と共に日本人への感謝と私の名前が書かれている。

・この旗をウクライナから持ってきてくれたのは先日私がかき集めた支援物資をウクライナに自らの運転で運び込んだ友人のオルガだ。クリミア半島もしっかり入っているウクライナの地図の右にルガンスクの位置が示されている。ここで彼女の兄であり、私と同じ年の友人が戦っている。これは人を殺めるためではなく、人を守るために銃を取らざるを得なかった戦いだ。世の中には戦いたくなくても戦わなければならない時がある。祖国を、ふるさとを奪われ家を破壊され家族を壊されても逃げるか、それとも子孫にふるさとを残すために戦うか、そういった選択を日本が迫られないことを願う。

この旗をいただいて、今までの疲れが一気にふっとんだ。さて、今日も頑張ろう!

5月30日

6月1日は子どもの日、その日に行う剣玉ワークショップのために地元の小学校に剣玉を届け、先生と打ち合わせ。剣玉は全て日本から送っていただいた物で、中にはこんなに素敵な色の剣玉も!
この剣玉は6月1日に子ども達の授業で取り入れられ(先生は私ではなくしっかりしたプロの動画)、その後ウクライナの子ども達にはプレゼント。それ以外はとりあえず学校に保管し、状況が許せばウクライナに送る予定。できればその時は平和になっており、私自身が和太鼓と一緒に自分の車で運び込みたいものだ。

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