坂本龍太郎のワルシャワ通信(10月5日〜10月11日)

ウクライナから支援物資到着の連絡あり。今回は避難所設置のための家具など、とにかく量が多かった。そのため輸送に関しては行政間に丸投げさせてもらった。

10月6日

・医療物資支援第十弾(17セット) 、第十一段(13セット)
・~フェリシモ こども基金企画~
・当初想定していた210セットの医療物資支援。結果として計266セットをウクライナに送ることができました。1つでも多ければ助かるというウクライナにとって、56セット多く送ることができたことは数字を見る以上に大きな支援になり、分かりやすく言うと想定よりも56人の救急隊員または56台の救急車などに備え付けることが出来ます。それだけ傷ついた人の命を救える機会が増えるということです。

今後も命を救うための支援を続けます。死んだら、もうそれで終わりです。例え車椅子生活になったとしても、生き延びてほしい。

10月7日

・友が眠る彼のふるさとウクライナ西部ズヴィフモスト市よりいただいた感謝状。ポーランド国境に近いこの街を通して、友と協力して今まで多くの人道支援物資を入れてきた。前線で何が必要なのか。どこにどんな人がいて何に困っているのか。浄水剤、ガスコンロ、水虫薬、医薬品。そんな貴重な情報を伝えてくれた友。こちらから入れた物資を確実に、全て前線に届け、報告として写真を送ってくれた彼。勝利を見ずしてふるさとに、戻らぬ人となって戻ってきた。

・この感謝状は、彼との協力なくしては実現できなかった貴重な貴重なウクライナ支援の結果だ。彼が愛したふるさとのこの街を、彼が残した家族がいるこの街を、今後もできるだけ支えていくことを彼も望んでいるに違いない。

10月8日

・ここ最近、複数回に渡り私のページにピアニスト中村天平さん関連のタグ付けがあります。ウクライナのみなさんによるものなので私がウクライナ入りしたと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、私はポーランドにいます。ここで少し経緯を説明します。
・天平さんと出会ったのは正直いつか覚えていません。長年、実行委員としてポーランド・日本祭りに携わってきた中で出会ったアーティストのうちの1人です。今回天平さんがウクライナ入りするとのことで、支援で繋がってきた人や場所を紹介しました。私がタグ付けされているのはそのためです。

・それぞれ私が今までウクライナへの人道物資搬入の拠点としてきた街です。今まで何度も物資を送ってきましたが、それより何より今回日本人として天平さんが直接、地元の人達に音楽を届けてくれたことは大きなウクライナの支えとなっているに違いありません。
・私もいずれ和太鼓などのコンサートでウクライナ入りしたいと思っていますが、第一和太鼓が爆発音に近く怖がられてしまう可能性があること、それ以前にここ7ヶ月全く練習できていないこと、今は支援に集中したいこと、その3つの理由からしばらくはお預けです。

10月9日

・在ポーランド日本国大使館を訪問。

・ウクライナ支援の根底にある史実。ポーランド・シベリア孤児。戦争。ポーランド分割の歴史。北方領土。これらの悲劇がウクライナで繰り返されていることを無視できない理由がここにある。
・ポーランド孤児を日本で受け入れた福田会も、ウクライナ支援の手を全く緩めていない。

ポーランド・シベリア孤児救出100周年記念式典にて。ポーランド国内軍特別蜂起部隊イェジキ記念協会のみなさんと。

そう。これ!こんな写真から1番元気をもらえる。
日章旗。言ってしまえばただの赤丸。しかしこの支えがなければ強い自分は保てない。

10月10日

・ワルシャワで宿を3週間支援しているウクライナの方に会いに行った。この方とお母さんが泊まっているホステルでコーヒーをいただく。そこには別のウクライナの方も泊まっていた。

・「出身はどちらですか?」
・「もうありません」
・「どういうことですか?」
・「すでに破壊されました。セベロドネツクです」

・こう言われるとなんと返したらよいのか分からず、しばらく言葉を失う。今まで、何度も同じような経験をしてきたのに、未だにどう声をかけていいのか分からない。

・ワルシャワも75年前、今のセベロドネツクのようでした。必ずふるさとを取り返し、復興させましょう。そう伝えるしかなかったが、未だにロシア軍の支配下にある現実は変わらない。

クリミア橋崩落への報復が始まった。ウクライナ全土にミサイルが撃ち込まれ、ロシア軍による無差別攻撃が続く。

10月11日

・以前私が関わっている避難所で3週間近く過ごし、その後最終目的地スイスに移動したキーウ出身のスヴェトラーナがいた。彼女はキーウから柴犬のアグロ君と一緒に避難してきていた。慣れない避難生活でアグロ君もずいぶんストレスを抱え、自由に走り回ることなく常にスヴェトラーナの隣にいたが、スイスから送られてきた写真を見てほっとする。

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