第27号/鵜飼

文/石地 まゆみ 鵜飼 疲れ鵜を労はる己が指噛ませ  栗田 やすし  能楽の「鵜飼」という演目をご存知でしょうか。甲斐の石和(いさわ)川に辿りついた僧侶が、鵜飼の老人に出逢います。その老人は実は禁を犯 …

第26号/四万六千日、風鈴、合歓の花

文/石地 まゆみ 四万六千日 四万六千日我に一重の瞼かな  篠塚 雅世  7月10日は、観音様の結縁日。この日にお参りすると、四万六千日(しまんろくせんにち)参詣したのと同じ功徳(利益)があるといわれ …

第25号/形代、蛍、樗の花

文/石地 まゆみ 形代 いただきし形代にもう雨の粒  藺草 慶子  今日は6月30日、「夏越」です。第6号で夏越の神事として「茅の輪」を紹介しました。夏越の行事としてもう一つ、「形代(かたしろ)流し」 …

第24号/葵祭、袋掛、麦

文/石地 まゆみ 葵祭 行列に風の寄り添ふ懸葵  西宮 舞  京都の下鴨神社、上賀茂神社の例祭は葵祭、正式には賀茂祭といい、祇園祭、時代祭と並ぶ京都三大祭りの一つとして知られています。また、石清水祭・ …

第23号/端午、幟、熊谷草

2020/06/26   -未分類

文/石地 まゆみ 端午 端午過ぎ頑張らなくていい柱  山元 志津香  五月五日は端午の節供と言いますね。「端」は初めという意味なので、「端午」は月の始めの午(うま)の日のことをいう言葉です。ですから元 …

第22号/伊勢参り、鳥交る、二輪草

文/石地 まゆみ 伊勢参り 伊勢参海の青さに驚きぬ  沢木 欣一  今では誰でもいつでも参拝することの出来る伊勢神宮ですが、国の最高の神様で皇室の氏神様ですから、遠い昔は一般の人がお参りすることは叶い …

第21号/御忌、鶯餅、三椏の花

文/石地 まゆみ 御忌 指あてて耳のつめたき御忌小袖  古舘 曹人  「御忌(ぎょき)」は、高貴な人や寺の開祖などの年忌(毎年の命日)の法会のことを敬っていう言葉です。ですが俳句では特に、平安末期から …

第20号/修二会、桜隠し、土筆

文/石地 まゆみ 修二会 つまづきて修二会の闇を手につかむ  橋本 多佳子  三月の行事と言えば、奈良の「お水取り」が有名です。この「お水取り」は、東大寺二月堂で一日から十四日まで行われる「修二会(し …

第19号/涅槃会、野焼き、蕗の薹

文/石地 まゆみ 涅槃会 現し世の櫛落ちてをり涅槃寺  木田 千女  お釈迦様が入滅(亡くなること)された日、旧暦2月15日は、各寺院で「涅槃会」(常楽会とも)という法会が行われます。4月8日の灌仏会 …

第18号/追儺、ワカサギ、山茱萸の花

文/石地 まゆみ 追儺 後ろ手に追儺の闇を閉しけり  大石 悦子  2月といえば節分、各地の寺社で年男による豆まきや、鬼やらいの行事でにぎわいます。翌日に立春を控え、春を待つ喜びにあふれた日で、普段、 …

第17号/初不動、寒天干す、枯木

文/石地 まゆみ 初不動 初不動帰りの厚き肉啖ふ  菖蒲 あや  新年には、寺社の本尊に関係のある縁日にお参りする日が季語となっているものがいくつかあります。初巳、初庚申、初薬師、初大師などなど…。不 …

第16号/どんど焼き、繭玉、福寿草

文/石地 まゆみ どんど焼き 金星の生まれたてなるとんどかな  大峯 あきら  元日一日を大正月というのに対して、一月十五日は小正月と呼ばれています。主に農家の予祝の行事が行われる日なので、繭玉、餅花 …

第15号/除夜の鐘、注連作、万両

文/石地 まゆみ 除夜の鐘 浜の寺山の寺より除夜の鐘  きくち つねこ  12月31日の大晦日、過ごし方はさまざま。年越し詣(除夜詣)に出掛ける人、家で年末のテレビを見ながら過ごす人、地方の風習で、特 …

第14号/降誕祭、白鳥、枇杷の花

文/石地 まゆみ 降誕祭 降誕祭終りし綺羅を掃きあつめ  福永 耕二  今日はクリスマス・イブ。すでに12月の声を聞くか聞かないかのうちに、街にはクリスマスソングが流れ、ツリーやイルミネーションなどで …

第13号/神楽、薬喰、冬桜

文/石地 まゆみ 神楽 神楽てふ一夜の舟に乗り合はす  遠藤 由樹子  季語の「神楽」には、宮中で12月に行われる「御神楽」「庭燎(にわび=神楽の際に焚く篝火)」と、民間で行われる「里神楽」「夜神楽」 …