まともな食べ物がちゃんと手に入らない日本
安田 節子 著
四六判 216ページ
価格1,700円+税
ISBN978-4-86251-482-0
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日本の「農薬」の安全基準は、世界に逆行して緩和されている。「遺伝子組み換え」また「ゲノム編集」食品の安全性は、いまだ確立されていない。「高密度飼育」された家畜は病気に苦しんでいる。肉の代替品として注目される「フェイクミート」はいったいどのように作られているのか……。
身の周りに当たり前にある食品は、実は、こうした問題を抱えている。私たちは何を食べているのか、改めて問い直したとき、日本が抱える食糧危機問題が見えてくる。
「食糧危機はすでに始まっている」と説いた、東京大学 鈴木宣弘氏の特別メッセージも必読。
目次
はじめに
Ⅰ 深刻化する農薬汚染
① 農薬の人体汚染は待ったなし 相次ぐ警告(1) 除草剤グリホサート
1.グリホサートを有効成分とする除草剤「ラウンドアップ」
2.増大する日本国内のグリホサート出荷量
3.国際的に強まるグリホサート使用禁止の勢い
4.日本におけるグリホサート使用規制緩和
5.輸入小麦のグリホサート汚染
② 農薬の人体汚染は待ったなし 相次ぐ警告(2)ネオニコチノイド系農薬
1.ネオニコチノイド系農薬
2.ネオニコチノイド系農薬の特徴は浸透性、残効性、神経毒性
3.ミツバチが巣に戻らず、大量失踪
4.神経毒性のある他の農薬
5.禁止や規制に取り組む国際社会・ネ オニコチノイド農薬の各国の規制状況
6.日本だけ基準を緩和
7.発達障害と農薬~農薬が胎児に高確率で移動
8.コメでの使用
9.急がれる脱農薬社会への転換
Ⅱ 脱農薬・有機を求める潮流
① 欧州連合(EU)の意欲的な農薬削減、有機農業拡大戦略
1.<農場から食卓戦略>の主な目標
2.<生物多様性戦略2030>の主な目標
3.グリホサート禁止を求める市民発議
4.Save Bees and Farmersのサイトから
5.EUの市民発議(European Citizens’ Initiative=ECI)とは
② 有機給食で脱農薬・有機自給国家を実現
1.輸入小麦に残留するグリホサート
2.桁違いに緩い日本の殺虫剤残留基準
3.公共調達で広がる有機食材
4.日本の場合―福島県熱塩加納町
5.有機米給食を実現した千葉県いすみ市
6.愛媛県今治市の地場産給食
7.東京都武蔵野市の安全給食
8.給食の合理化は誰のためなのでしょう?
Ⅲ 驚くべき、農家の自家増殖禁止
① 種苗法改定で農家の自家採種(増殖)禁止へ
1.農家の自家増殖を禁止した改定案
2.育成者権の効力が及ぶ範囲の例外を定める自家増殖に係る規定の廃止
3.登録品種と一般品種
4.農家の自家増殖禁止で何が起こるでしょう?
5.自家増殖禁止を望む多国籍種子企業
6.在来種を守れ!
② 免疫力を高め、農業再生にも有用な雑穀
1.雑穀は日本の主食の原点
2.白米との比較
3.手軽に続けられる雑穀入りご飯
Ⅳ 求められる「アニマルウェルフェア」
① 大規模工場養鶏とアニマルウェルフェア
1.鳥インフルの蔓延
2.密飼いの大規模工場養鶏が強毒性のウイルス変異を生む
3.海外依存の改良品種
4.ブロイラー鶏 品種改良で病気に弱い
5.アニマルウェルフェア(動物福祉)
6.海外の状況
7.雄ひよこの扱い
8.日本の地鶏
9.表示制度
② 家畜、家禽の「品種改良」
1.鶏の品種改良
2.「ゆっくり成長する鶏」
3.日本の地鶏
4.豚の場合
5.成長率の向上を目指し続ける日本
6.繁殖率の向上=子豚の死亡と母豚のストレス増加
7.牛の場合 増え続ける乳量
8.乳量の多い牛ほど病気が多い
③ フェイクミート(偽肉)
1.エシカル消費がけん引するフェイクミート市場
2.アメリカで本格的に利用されている「代替肉」
3.食用肉への応用も近い「細胞培養肉」
4.問題なのは工業的大規模集中畜産
Ⅴ まだまだ安全性が確認されていないゲノム編集食品
① 「ゲノム編集食品」(1)
1.ゲノム編集について
2.自然の突然変異と同じ?
3.ゲノム編集も遺伝子組み換え(GM)
4.ゲノム編集のリスク オフ・ターゲットが避けられない
5.ターゲット上でも意図しない変異
② 「ゲノム編集食品」(2)家畜のゲノム編集、特許、種の絶滅を目的とする遺伝子ドライブ
1.家畜のゲノム編集
2.ゲノム編集された角がない牛に抗生物質耐性遺伝子が存在
3.大企業が独占するゲノム編集の特許
4.種の絶滅を目指す遺伝子ドライブ技術
5.ヒト受精卵をゲノム編集した研究者
③ ゲノム編集トマトと「みどりの食料システム戦略」
1.「GABA高蓄トマト」
2.「みどりの食料システム戦略」
Ⅵ 食料自給率を高めよう
「みどりの食料システム戦略」
1.「有機」の本来の意味
2.クロルピリホス
3.米国でRNA農薬の応用化が進む
4.日本はCropLifeらの草刈り場なのではないか
5.農薬行政の見直し
6.『有機自給国家への転換』
【特別メッセージ】食糧安全保障の危機と打開策
著者プロフィール
安田 節子 (ヤスダ セツコ)
食政策センター・ビジョン21 代表
NPO法人「日本有機農業研究会」理事
一般社団法人「アクト・ビヨンド・トラスト」理事
日本の種子を守る会 常任理事
1990年〜2000年 日本消費者連盟で、反原発運動、食の安全と食料農業問題を担当。
1996年〜2000年 市民団体「遺伝子組み換え食品はいらない! キャンペーン」事務局長。表示や規制を求める全国運動を展開。
2000年11月「食政策センター・ビジョン21」設立。情報誌『いのちの講座』創刊し発刊中。
2009年〜2013年 埼玉大学非常勤講師
<著書>
『食べものが劣化する日本』(食べもの通信社)、『自殺する種子』(平凡社新書)、『わが子からはじまる食べものと放射能のはなし』(クレヨンハウス・ブックレット)、『消費者のための食品表示の読み方』(岩波ブックレット)、『遺伝子組み換え食品Q&A』(岩波ブックレット)、『食べてはいけない遺伝子組み換え食品』(徳間書店)、『食卓の危機』(三和書籍)他。
書評
『消費者リポート 1665号』 2023年1月
『月刊日本』 2023年1月
『musubi No.762』 2023年3月
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『日経新聞』 2023年1月28日
『朝日新聞』 2022年12月24日