日本留学の平和遺産
王 敏 著
四六判 272ページ 並製
2,700円+税
ISBN978-4-86251-463-9
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周恩来(1898–1976)は1917年秋~1919年春、日本に留学した。治水家の家系に生まれた彼は、古代中国の治水神「禹」の精神が日本に継承されていることに気づき、深い感銘を受けた。帰国後、中国革命に身を投じた周恩来は再び日本を訪れることはなかったが、終生日本を愛し、晩年も日本の桜に思いを馳せていたという。若き周恩来の日本での足取りを詳細にたどり、日中国交回復の原動力となったその日本観形成を解き明かす労作。
目次
はじめに
日本の風土に息吹く留学生・周恩来
中国の山河に粉骨砕身の総理・周恩来
第一部 百年前の中国人日本留学の背景
第一章 同時代の「異なる」希求
戦争の警鐘が促した海外留学
近代留学生教育の父:嘉納治五郎(一八六〇–一九三八)
日本留学の拠点:宏文学院
占春園と東京高等師範学校
留学生教育に生涯を捧げた松本亀次郎(一八六六–一九四五)
中国留学生受け入れの仕組みと矢野文雄(龍渓)(一八五一–一九三一)
儒学の共有と教育面の距離の短縮
第二章 日本で育んだ「一大」(中国共産党第一回代表大会)の代表
日本の大学教室で教わった西洋のマルクス主義
理論界の魯迅:李達
芥川龍之介が描いた中国共産党員たち
“二李”を支えた李書城
「薰用威」となった董必武
時代を超えて輝く知識の炎
第三章 中国近代化を導いた先駆者たち――中国留学生を中心に
西原春夫(早稲田大学元総長)×王敏
第四章 日中の運命共同体―桜美林大学創立者、清水安三と李大釗たちの血涙
畑山浩昭(桜美林大学学長)×王敏
主な参考文献
第一部注
第二部 古都・嵐山に息づく漢風・周恩来が見つけた日本
第一章 周恩来の留学生活
留学前の日本知識
周恩来の日本語学校
周恩来の学習時間
周恩来の日本語教科書
周恩来の目標
周恩来の「大同」の夢と「三宝」
第二章 周恩来の嵐山探訪
嵐山に向けた触発
周恩来の考察:角倉了以の銅像 小草の〝カタバミ〟
周恩来の考察:大悲閣千光寺
周恩来の考察:高泉性潡と林羅山の詩文
周恩来の考察:隠元禅師と万福寺
周恩来の考察:琵琶湖疏水と円山公園
周恩来の考察:「大同」年号と大覚寺
「大同」につなぐ「一点の光明」
第三章 嵐山に禹魂
嵐山の「禹」に出会う
日本の禹文化
ヒューマニズム的詩作
周恩来と日中共有の禹文化
治水の知恵から対日民間外交へ
「雨中嵐山」の実践
第二部注
第三部 日中の結び目
第一章 宮沢賢治と西遊記と治水神・禹と周恩来
「混成文化」の再発見
赤いコーリャン畑で始めた日本語学習
宮沢賢治と西遊記
孫悟空と嵐山の「禹」
周恩来と禹
日中「混成文化」の現在
第二章 日中比較文化研究の四〇年の模索
四段階に分けて
『パリの周恩来』の啓発
日中関係の指針・周恩来
第三章 日中の結び目
周恩来と会った日本の首相
「福田ドクトリン」記念碑とアジアの留学生
対話を!――福田康夫氏に聞く
第三部注
終わりに
周恩来略年譜
[資料]松本亀次郎と周恩来が生きた時代(年譜)
著者プロフィール
王 敏(ワン ミン)
中国・河北省承徳市生まれ。大連外国語大学日本語学部卒業。四川外国語大学大学院修了。宮沢賢治研究、日中比較文化研究。宮沢賢治を中国に初めて紹介したことで知られている。人文科学博士(お茶の水女子大学)。法政大学名誉教授、桜美林大学特任教授、拓殖大学客員教授、周恩来平和研究所所長。著書=『嵐山の周恩来──日本忘れまじ!』(三和書籍、2019)、『禹王と日本人──「治水神」がつなぐ東アジア』(NHKブックス、2014)、『中国人の「超」歴史発想──食・職・色』(中公文庫、2013)、『鏡の国としての日本──互いの〈参照枠〉となる日中関係』(勉誠出版、2011)、『中国人の愛国心──日本人とは違う5つの思考回路』(PHP新書、2005)など。