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安保 徹(著)
B5判   245頁  並製
定価 6,500円+税
ISBN 978-4-86251-094-5 C3047

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内容

免疫学は、新しい知見がどんどん生まれるので大変魅力的な学問です。私は1974年(昭和49年)に免疫学の研究に入りました。当時若い先輩の研究者が日本免疫学会に次々と登場し、はつらつとして発表やディスカッションをしていた光景が目に浮かびます。今でも免疫学は魅力的なのですが、多くの知見が加わったので新しく学ぶ人たちにとっては大変です。ほかの分野の人も免疫学を学ぶのが困難になっているように感じます。
また、もう1つの問題もあります。免疫学に関する知識が膨大になると教科書を書いたり、講義をしたりすること自体が大変になるということです。そのため、ついつい大人数で教科書をつくることになります。すると、自分の専門分野に熱心になり、全体としてまとまりがなくなってしまいます。やはり、教科書づくりも講義も1人でやる必要性もあるわけです。
今までの免疫学の教科書では、アレルギー疾患や自己免疫疾患や腫瘍免疫学の分野に弱点があり、臨床の先生方に新しい知見を伝えていないという問題もあります。実際、医療の現場で免疫学者の考えが役立ち、これらの病気が治っているということはあまりないのです。
新潟大学に来てからの講義期間は20年になります。この講義を三和書籍が本にしてくれるのは有難いことです。この本が、臨床に少しでも役立つ免疫学を提示できていれば幸いです。(まえがきより抜粋)

目次

まえがき

第1章 免疫学総論 part 1
 1.免疫学の歴史
 2.身体の防御システム
 3.白血球の進化
 4.リンパ球の性質
 5.リンパ球の産生と分布
 6.Tリンパ球とBリンパ球
 7.主要組織適合抗原
 8.免疫が関与する疾患

第2章 免疫学総論 part 2
 1.免疫で使われる分子群
 2.リンパ球の進化
 3.胸腺の進化
 4.マクロファージの働き
 5.白血球の分布と自律神経

第3章 免疫担当細胞
 1.マクロファージ
 2.リンパ球サブセット
 3.T細胞の種類
 4.TCR(T cell receptor)の構造
 5.B細胞の種類
 6.抗体の種類

第4章 B細胞の分化と成熟
 1.分化、成熟(differentiation、maturation)
 2.B細胞の抗原認識受容体(Ig)の遺伝子
 3.抗体の働き

第5章 T細胞の種類 part 1
 1.T細胞の抗原レセプター(TCR)
 2.TCRのシグナルを伝える分子 CD3 complex
 3.胸腺内分化T細胞と胸腺外分化T細胞
 4.CD4+T細胞の認識
 5.CD8+T細胞の認識
 6.Th0、Th1、Th2細胞
 7.T細胞の胸腺内分化
 8.胸腺外の分化

第6章 T細胞の種類 part 2
 1.TCR遺伝子の再構成(rearrangement of TCR genes)
 2.クローンの拡大
 3.Tc細胞の働き
 4.Th細胞の働き T─B cell interaction
 5.リンパ球の抗原提示
 6.胸線外分化T細胞が働くとき
 7.ガン化

第7章 主要組織適合抗原 part 1
 1.移植の拒絶抗原
 2.抗原提示分子
 3.構造
 4.分布
 5.ヒトとマウスのMHC
 6.MHCの遺伝子
 7.TCRの認識

第8章 主要組織適合抗原 part 2
 1.リンパ球の抗原認識と分裂
 2.抗原とMHCの結合
 3.polymorphic MHCとmonomorphic MHC
 4.HLAのタイプと疾患感受性
 5.MHC以外の拒絶タンパク
 6.そのほか

第9章 サイトカインの働きと受容体
 1.サイトカインの歴史
 2.サイトカイン
 3.サイトカイン受容体(cytokine receptor)
 4.ケモカイン(chemokine)と接着分子
 5.細菌毒素 LPS(lipopoly sacharide)

第10章 自然免疫
 1.外界に接する場所の抵抗性
 2.細胞の抵抗性
 3.補体
 4.補体の働き
 5.補体のタンパク群
 6.活性化の経路
 7.古典経路
 8.代替経路
 9.レクチン経路
 10.補体の産生部位
 11.補体レセプター
 12.細胞膜上にある補体活性抑制因子
 13.遺伝子
 14.補体遺伝子の欠損

第11章 膠原病 part 1
 1.自己の認識について
 2.自己認識のステップ
 3.自己免疫疾患の誘因
 4.自己免疫疾患の分類
 5.自己障害のメカニズム
 6.SLE

第12章 膠原病 part 2
 1.進化した免疫系の抑制
 2.中枢神経系の自己免疫疾患
 3.内分泌腺の自己免疫疾患
 4.消化管・肝の自己免疫疾患
 5.腎の自己免疫疾患
 6.心臓の自己免疫疾患
 7.眼の自己免疫疾患
 8.皮膚の自己免疫疾患
 9.chronic GVH病
 10.老化
 11.動物モデルと自己免疫疾患

第13章 神経・内分泌・免疫
 1.ストレスと生体反応
 2.急性症状
 3.急性症状が出る仕組み
 4.急性症状はストレスに立ち向かう反応
 5.交感神経と顆粒球の連動
 6.慢性症状
 7.ストレスの要因
 8.ミトコンドリアへの負担
 9.ミトコンドリアとステロイドレセプター
 10.ストレスと免疫抑制
 11.解糖系でエネルギーを作る細胞(ミトコンドリアの少ない細胞)
 12.受精とは何か
 13.ヒトの一生
 14.調和の時代にストレスを受け続ける
 15.生態の治癒反応
 16.副交感神経優位(楽をして生きる)でも病気

第14章 免疫系(防御系)と自律神経の関係 part 1
 1.白血球の自律神経支配
 2.日内リズム、年内リズム
 3.新生児の顆粒球増多
 4.消炎鎮痛剤
 5.生物学的二進法

第15章 免疫系(防御系)と自律神経の関係 part 2
 1.アレルギー疾患
 2.顆粒球増多と組織破壊の病気

第16章 移植免疫
 1.移植(transplantation)と拒絶(rejection)
 2.MHC
 3.移植
 4.純系
 5.拒絶の速さ
 6.純系と拒絶
 7.移植のしやすさ─MHCの発現量
 8.HLAタイピング
 9.骨髄移植(bone marrow transplantation)
 10.GVH病 GVHD(graft─versus─host disease)
 11.反応するリンパ球
 12.新生児免疫寛容(neonatal tolerance)
 13.拒絶に関与するほかの白血球
 14.non MHCによる拒絶
 15.免疫抑制剤(immunosuppressant)
 16.hybrid resistance
 17.輸血によって生着率上昇

第17章 免疫不全症
 1.先天性免疫不全症 (primary immunodeficiency)
 2.重症複合免疫不全症scid(severe combined immunodeficiency)
 3.胸腺無形成症(thymic aplasia)
 4.無γグロブリン血症(agammagloblinemia:伴性劣性遺伝)
 5.T細胞B細胞以外の異常症
 6.後天的免疫不全症(acquired immunodeficiency)
 7.免疫抑制剤(immunosupressive drug)
 8.抗ガン剤(anticancer drug)
 9.ステロイドホルモン(SH:steroid hormone)
 10.NSAIDs(nonsteroidal anti─inflamatory drugs)
 11.常在菌による感染症
 12.乳児一過性低ガンマグロブリン血症(transient hypogammaglobulinemia)

第18章 腫瘍免疫学
 1.免疫系の二層構造
 2.ガン細胞を排除している証拠
 3.腫瘍抗原
 4.エフェクター(攻撃)リンパ球
 5.腫瘍ができるための条件
 6.ストレス反応の意義
 7.ガン細胞の特徴
 8.ガン患者の免疫状態
 9.キラー分子群
 10.解糖系とミトコンドリア系
 11.アポトーシスとその抑制
 12.ガンの免疫療法
 13.治療(自然退縮)の条件
 14.そのほかの免疫療法について
 15.結論

あとがき
参考文献
索引

安保 徹先生の書籍