生活習慣病を予防する食生活からの要約
糖尿病と食事については、山梨医科大学名誉教授の佐藤章夫先生による生活習慣病を予防する食生活というサイトに、詳しく紹介されています。
ここでは、要約を紹介させていただきます。以下が、要約です。
糖質摂取量の減少が糖尿病を招く
1については、米国に移住した日本人における糖尿病の発生率は、米国人の2〜4倍であるといいます。また、伝統的な穀類中心の食生活を捨てて、米国人の食生活を取り入れたピマ・インデイアン(インスリン分泌能が低い)では、100年前には糖尿病が皆無であったのに、現在では35歳以上の50%が糖尿病を発症するそうです。
2については、さまざまな実験データによって、糖質(炭水化物)の摂取量が減ると、糖尿病の危険因子となると指摘されています。
健康な人が、経口糖負荷試験(糖忍容力試験)の前日に糖質の少ない食事を摂ると、耐糖能が著しく悪化しました。糖負荷試験の前日の朝食と昼食には普通の食事(たんぱく質15%、脂肪25%、糖質60%)を摂り、夕食だけ糖質の少ない食事(たんぱく質30%、脂肪60%、糖質10%)を与えたところ、全例において耐糖能が悪化しました。そして、被験者12名中4名が「耐糖能異常」と判定されてしまったそうです。
また、今から60年以上も前に、ロンドン大学病院のヒムスワース(Himsworth)が、糖尿病ではない健康人に、糖質の少ない食事を1週間与えて、糖負荷試験を行いました。
高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化しました。
しかも、糖質と脂肪の比率を一定に保ちながら総エネルギーを増減させたり、総エネルギーを一定にして糖質と脂肪の比率を変えたりして、耐糖能が検査前の糖質摂取量によって変動することを確認しました。この報告を契機に、糖負荷試験の前少なくとも3日間は1日300g以上の糖質摂取が必要であるといわれるようになったということです。
総摂取エネルギーと脂肪の過剰摂取に伴う肥満が、糖尿病の最大の危険因子であるといわれてきました。しかし、日本における総エネルギー摂取量は、1950(昭和25)年の2098 kcal、1995(平成7)年の2042 kcalと、過去45年の間にほとんど変化していません。
それにもかかわらず糖尿病が激増したのは、脂肪が増えて、そのぶん糖質が減ったからです。
たんぱく質(%) | 脂肪(%) | 糖質(%) | |
1950年 | 13 | 8 | 79 |
1995年 | 16 | 26 | 55 |
現在、糖尿病が急増しつつあるアジア諸国も、糖質中心の食生活から、欧米風の肉類の多い食事へと急速に移行中です。
米を主食とした食生活に戻すだけ
佐藤章夫先生のサイトの要約が長くなりましたが、エネルギ―に占める糖質(炭水化物)の割合が減っているのが、糖尿病が増えている原因だということです。
糖質の摂取量が減ると、どうして糖尿病になりやすいかは、生活習慣病を予防する食生活のサイトで、詳細に説明されています。
結論としては、糖尿病を予防したり改善したりするには、糖質が70〜80%になるような食事に変えることです。米を主食とし、野菜や魚をおかずにするという1950年代の食生活に戻せばいいだけです。