村上春樹とポストモダン・ジャパン

グローバル化の文化と文学 

HARUKI MURAKAMI AND POSTMODERN “JAPAN”:The Culture of Globalization and Literature

三浦 玲一 著 

四六判 / 186ページ / 上製
冊子版価格:1,800円 + 税
電子版価格:1,500円(税込)
冊子版:ISBN978-4-7791-2005-3 C0090

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村上春樹はグローバル・ポピュラー・カルチャーとしての「アメリカ文学」を
日本語で書いた作家である…。
アメリカ文学、カズオ・イシグロ、ディザスター映画、宮崎駿、新自由主義と
ポストモダニズムなどを縦横に論じる新たな「文学論」の冒険。
急逝した気鋭の批評家が残した遺稿を編む(「文學界」2013年9月号、
2014年2月号掲載ほか)。

(社)日本図書館協会 選定図書

目次

第1章 グローバル化の文化と文学 ——村上春樹、ティム・オブライエン、レイモンド・カーヴァー 
 Ⅰ はじめに――雑貨としての洋書とその背後にあるもの
 Ⅱ グローバル化する文学のポストモダニズム
 Ⅲ 純文学と内外の分別――大江健三郎の村上春樹評
 Ⅳ 故郷〈ホーム〉の喪失――『本当の戦争の話をしよう』
 V 「誤読」の世界――村上春樹とレイモンド・カーヴァー
 Ⅵ おわりに――グローバル化の文学とは

第2章 村上春樹とポストモダン・ジャパン ——リベラル・グローバリズムのセカイ 
 Ⅰ 「魂の行き来する道筋」と『1Q84』のセカイ 
 Ⅱ イシグロ、『ナウシカ』、『AKIRA』における核 
 Ⅲ 90 年代ハリウッドのディザスター映画が隠しているもの
 Ⅳ 奈良美智のポストフェミニズム
 Ⅴ 宮崎駿の『魔女の宅急便』と『紅の豚』
 Ⅵ やりがい搾取と自己啓発革命とその外部
 VII 階級化されたセカイを発見するこ

第3章 『多崎つくる』とリアリズムの消滅 ——アメリカ・モダニズム小説の意味  
 Ⅰ 『多崎つくる』のねじれ——リアリズムの幻想 
 Ⅱ アメリカ・モダニズム小説の「興隆」とわれわれの現在 
 Ⅲ 内転する帝国主義としての異性愛の中心化——『グレート・ギャツビー』 
 Ⅳ アイデンティティが競争し合う市場——『日はまた昇る』 
 Ⅴ 偶有性に隠蔽される歴史——『アブサロム、アブサロム!』 
 Ⅵ われわれの住む帝国の記述 

わたしたちの〈いま〉のリアリズムとユートピア ——解説にかえて 河野真太郎 
 Ⅰ はじめに――三浦玲一氏の歩み
 Ⅱ ポストモダン文化がグローバル文化であること
 Ⅲ 『魔女の宅急便』が名作である理由
 Ⅳ ユートピア批評へ

著者プロフィール

三浦 玲一(ミウラ レイイチ)

Reiichi Miura 1965年生まれ、
一橋大学大学院言語社会研究科前教授。
専門はアメリカ文学、ポストモダニズム。
2013年10月9日、病のため急逝。
著書
『ポストモダン・バーセルミ―「小説」というものの魔法について』
(彩流社)
訳書
ウォルター・ベン・マイケルズ『シニフィアンのかたち―
1967年から歴史の終わりまで』(彩流社)。
共編著
『ジェンダーと「自由」―理論、リベラル、クィア』(彩流社)
『文学研究のマニフェスト―
ポスト理論・歴史主義の英米文学批評入門』(研究社)ほか。