映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?

ユーゴスラヴィアの崩壊を考える 

越村 勲 著, 山崎 信一 著 

A5判 / 93ページ / 並製
定価:1,000円 + 税
ISBN978-4-88202-929-8(4-88202-929-4) C0022

1995年のカンヌ映画祭でグランプリをとったエミール・クストゥリツァ監督『アンダーグラウンド』は、映像の美しさだけでなく、一つのユーゴ史像、戦後の社会主義に対するユーゴ民衆の「記憶」を見事に描き、事件ではなく、ユーゴの人間を生き生きと伝える傑作である。本書は、この映画の世界を読み解きながら、1990年、最初の社会主義崩壊 91年の各共和国の独立宣言 92年以降の「内戦」やNATOによる「空爆」といった“歴史的体験”をした旧ユーゴスラヴィアの歩みを考える。社会主義の崩壊から“民族浄化”の内戦までを単に“民族対立”という安易な視点だけでは見えない、複雑に錯綜するユーゴ現代史のさまざまな側面をえぐる。

目次

1章 四つのユーゴスラヴィア 

2章『アンダーグラウンド』のあらすじ 

3章『アンダーグラウンド』の世界 

4章 セルビアと74年憲法体制 

終章「内戦」をとりまく構図

著者プロフィール

越村 勲(コシムラ イサオ)

1953年 富山県に生まれる
1980年 ザグレブ大学大学院政治学研究科修士課程終了
1985年 一橋大学大学院社会学研究科博士課程終了 社会学博士
    一橋大学特別研究員、東京造形大学助教授などをへて、1998年より同教授。
    専攻はクロアティアなど東欧の社会や思想・運動の歴史。
著書 『東南欧農民運動史の研究』(多賀出版、1990年)
共著 『もっと知りたいユーゴスラヴィア』(弘文堂、1991年)
共編訳 ロビン・オーキー『東欧近代史』(勁草書房、1987年)
編訳 『バルカンの大家族ザドルガ』(彩流社、1994年)
訳書 『クロアティア=セルビア社会史断章』(彩流社、1999年)
   『セロー中世セルビアの村と家』(刀水書房、2003年)ほか山崎 信一(ヤマザキ シンイチ)

1971年 長野県に生まれる
2000年 東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了
2004年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学
    同年より東京大学大学院総合文化研究科助手。
    専攻は戦間期ユーゴの文化政策などのバルカン現代史
共訳書 ドーニャ、ファイン『ボスニア・ヘルツェゴヴィナ史ー多民族国家の試練』         (恒文社、1995)
共著 『バルカンを知るための60章』(明石書店、2004年刊行予定)ほか