介護短歌の記
夫婦で歩む二百首
坂元 秀美 著
4-6変 / 92ページ / 並製
定価:700円 + 税
ISBN978-4-7791-1655-1 C0072
高齢化社会の中の“夫婦介護”の心情を赤裸々に吐露した二百首!
夫婦の愛、生きることの意味、絶望と希望・・・・・・
介護する人、される人、すべての人に贈る五七五七七の心。
多様な病歴を持つ妻の介護をバリアフリーのマンションに転居し、息子と二人で在宅介護を覚悟し、デイサービスやヘルパー、医師や看護師の訪問診療などの支援を受けながら、 今日よりはささいなことも生きざまを短歌に託し残さんと思う と決して書き綴った短歌日誌。
つかれはてベッドに倒れ横に伏すなまけ病だと自嘲する妻
お別れの時は間近ねと妻の言う箸の運びはとどまりて居り
妻一人残すは無残願わくば吾より先に旅立ちたまえ
屠蘇道具揃える吾に妻の言う誰も来ないに出さなくてよい
いつまでも起きない妻にふと不安洗顔やめて急ぎかけ寄る
食べ物をのどにつまらせふるえ出す妻の容態走り知らせる
MRI結果を聞けば素人に判らないよと医師のごう慢
流す背の小さくなりて真白なり苦労したなと賞でる言葉を
気は長く心は丸く腹立てずジュモンをとなえ妻を介助す
いつの日かまつらるるはず墓にきて妻と楽しむ中秋の空
永らえて八十路を迎え吾が想い子や孫と別れる時は如何にあるべき
おとうさんお母さんとは呼ばないで今日から名をば呼ぶときめきたり
介助する息子に比べ思うのか吾に向いて役立たずと言う
大地震息子の背中に母背負い四階までをやっとたどりぬ
著者プロフィール
坂元 秀美(サカモト ヒデミ)
1924年京城生まれ。郷里は宮崎県。
学校:櫻井小、京城商業、京城高等商業。
そして兵役九ヶ月。
職歴:宮崎県油津水産、その前後各々2社転職、終りは(株)イクヨ、40年で職を終結。
平成10年より介助に専念。現在も継続中。