「つむじ押し」を考案された福田稔医師は、「患者さんの多くは頭部にうっ血があり、下半身、とくに足が冷えている。つむじを起点に足の裏まで磁気針などで刺激すると、全身の血液の流れがよくなって、目がパッチリと開いて充血もその場で解消する」と言っていました。
また、「治療が終わると、患者さんから『お風呂上がりのようなさわやかな気分です』 といった言葉が返ってくる」とも言います。
ここで紹介する「つむじ押し」は、福田医師が「つむじ理論」と名付けて実践していた自律神経免疫療法の家庭版です。自律神経免疫療法と同様、頭部のうっ血を改善し、全身の血流をよくする効果があります。
つむじの探し方
つむじ押しは、つむじと、つむじを起点として後頭部や首に向かって延びる6本のラインを、指で押して刺激する健康法です。6本のライン上で、とくに痛みを感じる箇所を見つけて、そこを集中的に押すことが大切です。
つむじを自分の目で確認することはできませんが、指で探すと意外に簡単にわかります。髪の毛のない人でも、つむじを見つけることができるので、心配はいりません。
頭皮を、頭頂部から前後、左右に、指で探っていきます。直径1mm前後の大きなくぼみが見つかれば、そこがつむじです。人によっては、くぼみが2個、あるいは3個と見つかる場合もあります。その場合、触っていちばん大きいと感じるくぼみ、あるいはギューッと指で押さえて最も痛みを感じるくぼみを、つむじと考えてください。
つむじ押しのやり方
(1)つむじを押す
つむじ(大きくくぼんだ部分)に両手の人さし指、中指の腹を当て、気持ちよいと感じる強さで20回ほど押します。
(2)つむじから放射状に延びる6本のラインを押す
6つのラインに沿って、人さし指と中指で頭皮をギュッと押しながら、つむじから顔、後頭部、首へと向かって刺激していきます。
刺激する6つのラインには、便宜上、それぞれA1、A2、B1、B2、C1、C2の記号を付けています。「つむじ押し」は片手でもできるので、Aラインの1と2を両手で同時に刺激するとよいでしょう。Bラインの1は右手で、Bラインの2は左手で、同時に刺激しましょう。Cラインも、1は右手で、2は左手で、同時に刺激するとよいでしょう。
各ラインの通り方と終着点は以下のようになります。
〈Aライン〉
つむじから鼻、のどに向かって下がっていくラインがA1、つむじから後頭部、首のつけ根に向かって下がっていくラインがA2です。
A1は、つむじから眉間、鼻すじ、くちびるの中心部を通り、あごのつけ根までのラインです。A2のラインは、つむじから後頭部に下がっていきます。首を前に倒したときに出てくるグリグリとした骨がA2のラインの終点です。
〈Bライン〉
つむじから右の側頭部に下がり、右のこめかみを通って顎関節のつけ根に至るラインがB1です。同じく、つむじから左の側頭部に下がって、左のこめかみを通って顎関節のつけ根につながるラインがB2です。
〈Cライン〉
左右の耳の後ろにあるコリコリとした骨と、後頭部の中心を通るA2のラインの間には、直径2〜3mmの大きなくぼみがあります。つむじからこの後頭部の右のくぼみの中心を通り、そのまま首のつけ根に至る線がC1、つむじから後頭部の左のくぼみの中心を通って、首のつけ根に至る線がC2となります。
以上、AからCのライン上を、つむじから下方に向かって、少しずつ指をずらしながら2セットずつ刺激します。とくに痛みを強く感じた箇所がある場合、そこを5回ほど集中的に押してください。痛みを感じる箇所は、血液が滞留しているところなので、念入りにほぐすようにしましょう。
つむじ押しを行う場合、指でギュッ押しても、もみほぐすようにしながら押してもけっこうです。
つむじ押しを行うと血流がよくなって頭がすっきりするのですが、頭部に滞留していた血液が首や肩で停滞し、痛みやこりが出てくることがあります。そうした場合は、首や肩を回したり、乾布摩擦を行ったりして、首や肩で停滞している血液を、さらに下に向かって流すように心がけてください。