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中国で反戦活動をしたエスペランチスト
長谷川テル研究会 編
寺島 俊穂、蒲 豊彦、冨田 成美、西田 千津、田熊 健二 編
四六判 840ページ
価格6,500円+税
ISBN978-4-86251-617-6

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本書は、長谷川テル(1912-47、エスペラント名はヴェルダ・マーヨ:Verda Majo、中国名は緑川英子、以下、略記する場合はテルとする)の著作を網羅することを目指して編んだ著作集である。
長谷川テルは、1932年にエスペラントを学び始め、きわめて短期間で習得し、1933年以降はほとんどの著作をエスペラントで書いたエスペラント作家である。34年という短い人生だったが、著書二冊、訳書一冊、雑誌記事多数を残した。長谷川テルの作品群は、短歌、小説、論説、散文詩、評論、翻訳など多分野にわたり、執筆時期では、1931~37年の日本時代と1937~45年の中国時代に分かれる。
テルの著作の公刊の媒体は著書か雑誌である。発表年順に並べる方法もあるが、著書として出版された主著を前に置き、そのあとに論説などのうち著書に収められなかった著作を年代順に並べることにした。したがって、第Ⅰ部に「戦う中国で」(1945年)、第Ⅱ部に「嵐の中からささやく声」(1941年)を配置し、そのあとの第Ⅲ部に日本時代の著作、第Ⅳ部に中国時代の著作(著書を除く)を執筆年代順に載せる。翻訳は原則として除いたが、テルの思想形成に影響を与えたと思われるものは収録した。また、著書に収録された、関係者の著作も収録した。

目次

編者まえがき
長谷川テルの生涯とその思想

第Ⅰ部 戦う中国で
 序 章 晩春の別れ
 第一章 上海で
 第二章 南へ
 第三章 広州で
 あとがき

第Ⅱ部 嵐の中からささやく声
 ありふれた思い出(劉仁著)
 すこしばかり(ヴェルダ・マーヨ)
 平和のハト(エルピン著)
 愛と憎しみ
 中国の勝利は全アジアの明日への鍵である――日本のエスペランチストへの手紙
 暴政の国――日本
 全世界のエスペランチストへ
 なくなった二つのリンゴ――病床で――
 五月の首都で
 代用品時代――戦時下日本の風物詩――
 冬来たりなば春遠からじ――マンガダ同志にささげる――
 日本の学生のプロフィール
 女性は戦いながら前進する
 戦時下日本の女性労働者
 エスペラントと民主主義
 民主主義世界の不幸
 憎しみから生まれるもの(宋之的著)

第Ⅲ部 日本時代の著作
 晩春初夏誦
 片隅の秋
 『吾妹』掲載短歌
 ぬかるみ
 春の狂気
 六ヵ月
 日本文学小史
 日本の女性の状況
 エスペラントで書くか民族語で書くか?――エス文学に関する乱想の中から――
 若い男女のエスペランチストの独り言
 この前の日食について
 日本プロレタリア文学の現状
 タギージョへの手紙
 『洋学年代記』上演
 日本文学者との懇親会
 こんにちは
 富士山はどのようにしてできたか
 東京の労働者街で
 エスペラントで日本の子どもをどう呼ぶか
 チンドン屋
 日本語
 この前の台風
 貧困
 日本の乗り物
 ゴーリキー戯曲の上演
 「ヨハン・コルベイ」について
 ヨハン・コルベイ

第Ⅳ部 中国時代の著作
 心の底からの声――中国人に嫁いだ日本女性の手紙
 心のまっすぐな人――遊撃隊の母との会見記
 日本の友人からの慰労の手紙――緑川英子が我が前線兵士に送る書
 九・一八記念 故国の同胞に告ぐ――九月十八日の夜、日本への放送――
 まったく異なるふたつの献金
 まだ見ぬ朝鮮の兄弟たちへ
 日本の友人の祝辞
 中日両国の女性は手を携えよう――『三・八』国際女性デーに寄せて
 青年時代のザメンホフ
 『生きている兵隊』訳者まえがき
 暴風雨の時代の詩人――郭沫若先生の創作活動二十五周年のために
 現在の日本女性の生活
 夜明けの合唱
 国際青年の日を祝って
 蕭紅を想う
 志願囚
 日本人反戦女性の声――解放は戦い取るものである
 いかに学習するか
 三・八偶感
 樹――金剛村閑記の一
 花のない農夫――金剛村閑記の二
 本の祝日
 重慶エスペラント通信教育社四周年記念会での演説
 子猫の死
 ファシスト統治下の日本女性
 二つの天国――金剛村夜話・第一話
 岐路に立つ日本

第Ⅴ部 資料
 けちんぼう
 「グルッペ抄」掲載短歌
 花はいかにして開いたか?(蘇醒著)
 鹿地亘、池田幸子への手紙
 アトリー女史歓迎会談話
 中国抗戦の一周年記念を祝福す――七・七 一周年を記念するため作る
 私はなぜ中国を助けるのか
 緑川英子の中国朋友に与えたる談話
 重慶日本語放送(一九三九年三月九日)
 全世界反ファシスト連合戦線の兄弟よ! 共同の敵を打ち倒せ!
 二つのザメンホフ伝
 いくつかの格言

編者あとがき
参考文献リスト
長谷川テル著作リスト
長谷川テル年表

著者プロフィール

寺島 俊穂(テラジマ トシオ)
編集主任(編集責任者)
1950年生まれ。関西大学元教員、専門は政治哲学・平和学、堺エスペラント会代表、日本エスペラント協会評議員。著書に『戦争をなくすための平和学』(法律文化社、2015年)など。

蒲 豊彦(カバ トヨヒコ)
編集委員(編集委員会構成員)
1957年生まれ。京都橘大学元教員、専門は中国近現代史、宇治城陽エスペラント会会長、関西エスペラント連盟理事。著書に『闘う村落――近代中国華南の民衆と国家』(名古屋大学出版会、2020年)など。

冨田 成美(トミダ ナルミ)
編集委員(編集委員会構成員)
1965年生まれ。立命館大学ほか非常勤講師、専門は日本近世文学、京都エスペラント会会員。共編著に『假名草子集成』第70巻(東京堂出版、2024年)など。

西田 千津(ニシダ チヅ)
編集委員(編集委員会構成員)
1963年生まれ。専門は中国近現代史、奈良・長谷川テル顕彰の会推進委員、京都エスペラント会会員。共著書に『長谷川テル――戦火の中国で自由と平和を求めたエスペランチスト』(京阪奈情報教育出版、2025年)など。

田熊 健二(タクマ ケンジ)
編集協力者
1943年生まれ。大阪エスペラント会会長、関西エスペラント連盟顧問(元会長)。