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リスク管理は最強のキャリア術
グローバルビジネス学会・危機管理研究部会 編
中林 美恵子 監修
A5判 304ページ
価格2,400円+税
ISBN978-4-86251-599-5

本書は、単なる危機管理の概念論にとどまらず、現代社会におけるもっとも喫緊の課題と直結した実践的な知見を提供する。なぜ日本が変革を迫られているのかを深く掘り下げ、具体的なデータと実例をもとに明らかにした第Ⅰ部、危機管理の理論を網羅した第Ⅱ部、そして危機管理の未来へと読者を導く第Ⅲ部は、私たちの主体的な危機管理への関わり方へと導く。危機を単なる恐怖として捉えるのではなく、それを乗り越えるための知識と戦略を提供している点こそが、本書の最大の魅力である。

目次

はじめに
序章 危機管理とキャリアを結ぶ新たな思考
 はじめに
 1.リスクのとらえ方
  2.本書の全体構成と各章の概要
  2.1 第I部:現代のリスク事例とその影響
  2.2 第II部:危機管理理論とその限界
  2.3 第III部:未来に向けた解決とキャリアへのヒント
 3.「変化」とは何か――その多様な形
 4.危機管理の新たな地平――変容する国際秩序
 5.リスク管理を実践するための具体的な行動計画
  5.1 キャリアのリスクマネジメント
  5.2 企業のリスクマネジメント
 6.まとめ

第Ⅰ部 事 例
第1章 グローバル化やVUCAの時代に対応できない日本人材の危機
 はじめに
 1.日本の人材の現状と課題
  1.1 2023年のIMD世界人材ランキング、日本は2005年調査の開始以来最低の43位
  1.2 多様性に慣れていない日本の人材の課題
  1.3 企業の国際人材開発に向けた取り組み
  1.4 VUCAに対応出来ない画一的な日本人材の特性
 2.日本の労働力確保の現状と課題
  2.1 急速に減少する日本国内の労働力
  2.2 外国人にとって日本で働く魅力度
  2.3 日本における日本型雇用慣行の終焉とライフスタイルへの影響
  3.日本の教育の現状と課題
  3.1 日本の大学のユニバーサル化
  3.2 グローバル化や多様性に適合した人材教育の必要性
  3.3 大学が21世紀に提供すべきコンテンツとしてのリベラルアーツについて
  3.4 誰もが一流大学の講義をインターネットで受講できる大規模オンライン大学講座 MOOCs
  3.5 新しい世代の大学教育の姿を創造するミネルバ大学
 4.日本の人材・労働力確保・教育に関するインプリケーション
  4.1 国内人材の日本国内からのアウトバウンド化について
  4.2 海外人材の日本国内へのインバウンド化について
  4.3 高等教育のあり方について
 5.おわりに

第2章 多極化世界というリスク
 日本は存続できるのか?
 はじめに
 1.多極化世界というリスク
  1.1 多極化世界を産む底流:中進国の量産体制
  1.2 資源価格の高騰
  1.3 武器の拡散
  1.4 食料・資源の囲い込み経済圏の誕生?
  1.5 小括
 2.日米同盟
  2.1 危ぶまれる日本の防衛力
  2.2 アメリカ頼みの日本の友好関係
  2.3 情報力不足
 3.おわりに

第3章 企業と為替リスク
 はじめに
 1.1ドル=1円で始まった円の激動の歴史
  1.1 金・ドル本位制から変動相場制へ
  1.2 日米民主党政権で進んだドル安・円高
  1.3 アベノミクスとコロナ禍でドル高・円安へ転換
 2.為替リスクへの備え:相場の変動要因を理解する
  2.1 政策要因
  2.2 貿易・実需のフロー要因
  2.3 ポジション要因
 3.為替リスク管理の手法とは
  3.1 ヤクルトの事例
  3.2 サイゼリヤの事例
 4.まとめ

第4章 食料・エネルギー危機
超輸入依存国「日本」は半年で餓死する可能性
 はじめに
 1.日本の食料危機
  1.1 海外要因
  1.2 国内要因
  1.3 水源という財産
  1.4 有事への備え
  1.5 まとめ
 2.エネルギー危機
  2.1 海外要因
  2.2 国内要因
  2.3 有事への備え
  2.4 まとめ

第5章 気候変動と災害 激甚化・頻発化する猛暑、干ばつ、洪水、そして水・食料不足や紛争まで
 はじめに
 1.気候変動にともなう自然災害リスク
  1.1 猛暑・熱波
  1.2 日照り・干ばつ
  1.3 豪雨・洪水
  1.4 台風
  1.5 高潮
  1.6 海面上昇
 2.気候変動にともなう社会混乱リスク
  2.1 水不足
  2.2 食料不足
  2.3 健康被害
  2.4 暴動・紛争
 3.おわりに

第6章 デジタルガバナンスと私たちの危機
無秩序なデジタル世界の氾濫で孤立する日本
 はじめに
 1.世界規模の混乱
 2.インターネットの遮断が私たちの生活にもたらすリスク
 3.デジタルガバナンス運用に潜むリスク
  3.1 デジタル空間における権力乱用のリスク
  3.2 私たちに潜むデジタル依存のリスク
 4.紛争とデジタル技術
  4.1 紛争とデジタル技術
  (生産する国やセキュリティ対策)
  4.2 救済ツールとしてのデジタルガバナンス
 5.おわりに

第7章 メディア 偽情報が招くグローバルリスク
 はじめに
 1.「フェイクニュース」から「偽情報」へ
  1.1 フェイクニュース元年は2016年
  1.2 フェイクニュースから「偽情報」へ
  1.3 フィルターバブルとエコーチェンバー
  1.4 偽情報は真実よりも速く広まる
 2.ディープフェイクの脅威
  2.1 ディープフェイクとは何か
  2.2 戦争と選挙での悪用事例
  2.3 経済と犯罪におけるディープフェイクの悪用
  2.4 日本におけるディープフェイクの事例
  2.5 ポジティブな活用の可能性
  2.6 最大の脅威は「うそつきの配当」
 3.伝統メディアによる偽情報対策
  3.1 4つのアプローチ
  3.2 イギリスのBBCによる透明性の確保
  3.3 アメリカのCBSによるディープフェイク対策
  3.4 ワシントン・ポストの「ピノキオ・テスト」
  3.5 日本における取り組みの遅れ
  3.6 偽ニュースに“予防接種”を
 4.おわりに

第Ⅱ部 理 論
第8章 危機管理(リスクマネジメント)とその限界
 はじめに
 1.危機管理(リスクマネジメント)の理論
  1.1 リスクマネジメントは必要か?
  1.2 リスクとは?リスクマネジメントとは?
  1.3 リスクマネジメントは経営プロセス?
 2.リスクの特定とは?
 3.リスク評価、リスクマップとリスク戦略
 4.リスク評価のための定量モデル
 5.リスクコントロール
 6.リスクファイナンス
 7.リスクアペタイト:どれほどリスクを保有するのか?
 8.効率的なリスクマネジメント
 9.リスクマネジメントの歴史と変遷
 10.リスク取引市場としての保険市場の問題点
 11.リスク取引市場としての金融市場の問題点
 12.リスクマネジメントの問題点
 13.伝統的リスクマネジメントからERMへ
 14.リスクマネジメント教育
 15.おわりに

第Ⅲ部 解決へのヒント
第9章 VUCA時代の生存戦略としてのリスクマネジメント
マインドセット・リスクカルチャーの転換に向けて
 はじめに
 1.VUCA時代におけるリスクカルチャーとマインドセット
  1.1 VUCA時代に知っておきたい「リスク」の意味
  1.2 日本におけるリスクカルチャー
  1.3 オペレーショナルリスクマネジメントとゼロリスクカルチャー
  1.4 戦略リスクマネジメントから探る新しいリスクカルチャーの形
 2.キャリア論としてのリスクマネジメント
  2.1 キャリアをめぐるリスクに対峙するには
  2.2 攻めのマインドセットでVUCA時代のキャリアを構築する
  2.3 VUCA時代の持続的キャリア実現にむけたヒント
 3.おわりに

第10章 働き方の多様性
所属や地域を超えた新しい働き方と学び方
 はじめに
 1.新しい教育のあり方
 2.社会人の学び
 3.新しい働き方の事例
  3.1 大企業の中での働き方、プロボノ・有志団体活動
  3.2 地域との副業・兼業・プロボノ
 4.これからのキャリア形成に向けて

第11章 サプライチェーンと投資におけるリスク管理
 はじめに
 1.サプライチェーンにおけるリスク管理
  1.1 サプライチェーンにおけるリスク
   1.1.1 自然災害
   1.1.2 地政学的リスク
   1.1.3 技術的リスク
  1.2 リスク管理戦略の重要性
   1.2.1 供給源多様化の重要性
   1.2.2 情報共有と可視化の強化
   1.2.3 予測とシナリオ分析
   1.2.4 危機発生時の迅速な対応
  1.3 危機発生時の対応
   1.3.1 危機対応チームの編成と役割
   1.3.2 代替供給源の確保と物流の再編
   1.3.3 迅速な情報共有と透明性の確保
  1.4 事後分析と改善
   1.4.1 データ収集と評価
   1.4.2 問題点の特定と優先順位付け
   1.4.3 継続的な改善プロセスの構築
   1.4.4 訓練とシミュレーション
   1.4.5 改善策の文書化と共有
  1.5 偽情報が招くグローバルリスクへの対応
  1.6 結論
 2.投資のリスクマネジメント
  2.1 リスク管理と投資判断の重要性
   2.1.1 リスクとリターンのバランス
   2.1.2 各ステージにおけるリスクの特性
   2.1.3 ベンチャー投資のリスク管理の重要性
   2.1.4 成長・成熟ステージでの事業投資とM&Aにおけるリスク管理の複雑化
   2.1.5 リスク評価と迅速な意思決定の必要性
  2.2 各ステージにおける主要なリスク
   2.2.1 ベンチャー投資におけるリスク
   2.2.2 事業投資におけるリスク
   2.2.3 M&Aにおけるリスク
   2.2.4 主要なリスクのまとめ
  2.3 投資判断とリスク評価のポイント
   2.3.1 ベンチャー投資のリスク評価と投資判断
   2.3.2 事業投資におけるリスク評価と投資判断
   2.3.3 M&Aにおけるリスク評価と投資判断
   2.3.4 リスクシナリオのシミュレーション
  2.4 成功と失敗のケーススタディ
   2.4.1 ベンチャー投資の成功と失敗
   2.4.2 事業投資の成功と失敗
   2.4.3 M&Aの成功と失敗
  2.5 結論

終章 グローバルビジネスと新たな危機管理に向けて
-日本的価値の良さを再認識せよ-
 はじめに
 1.現代のリスクと危機管理の新たなパラダイム
 2.危機管理の主なフレームワークとその補完
  2.1 統合的アプローチの重要性
  2.2 危機管理とSDGsの活用
  2.3 ESG/SDGsマトリックスの活用による危機管理の強化
 3.最新リスクとSDGsを活用した危機管理の実践
  3.1 サプライチェーンの危機管理
  3.2 人権侵害に対する危機管理
  3.3 環境危機管理と気候変動対策
  3.4 ガバナンスとリスク管理
  3.5 サステナビリティ体系の統合化と組織編成の必要性
 4.解決へのヒントと今後の課題
 5.ポストSDGsと危機管理の新たな枠組み
 6.おわりに:グローバルビジネスと新たな危機管理に向けて
―日本的価値の再認識―

おわりに
著者プロフィール

編者プロフィール

グローバルビジネス学会・危機管理研究部会

本研究部会は、グローバルビジネスにおけるリスク・マネジメントに焦点を当てる。カントリー・リスクを含め、危機管理の基本的コンセプトを精査し、最先端の認識を取り入れながら、ビジネスにおけるリスクとは何かを追求する。激変する国際秩序の中で、企業が必要とする危機管理体制構築の方法や考え方、および実際にビジネスで活用すべき知見を得るとともに、これを広く社会に提供する活動を行う。