
騙されないデータの読み方
角川 総一 著
A5判 269ページ
価格2,400円+税
ISBN978-4-86251-621-3
私たちの多くは、これまで「経済データの読み方」の訓練を受けてきませんでした。そのため、ニュース報道で発表される数字を、鵜呑みにしてしまいがちです。
しかし、その数字の背後には、統計の取り方や定義を巡るトリックのほか、政治的な意図が潜んでいることは珍しいことではありません。その結果、経済社会に対する明らかに誤ったイメージを抱いている事例を、私はこれまでに数多く見てきました。
本書では、あくまで現実のデータを具体例として取り上げつつ、その“数字のカラクリ”を丁寧に解き明かし、白日の下に晒していきます。
ページをめくるたび、あなたの「常識」は根底から崩されていくはずです。データ、そして経済社会を見る目が一変する。そんな知的興奮をお約束します。
目次
序文
第1章 経済データの落とし穴
1.円高で日本株安、円安で日本株高って本当?
2.70歳以上シニア層の破産は増えたのか
3.倒産件数が減っているから景気はそう悪くはない?
4.「1人当たりGDP世界32位」は悲観すべきか
コラム.1 人あたり GDP ランキングを過去と比較すると
5.実感より低く算出されるインフレ率
コラム.直感的に経済データを理解するとっておきの方法を教えます
第2章 前年比データの限界を知ろう
1.比較されたがっているデータ
2.前年比データには限界あり①
3.前年比データには限界あり②
4.前年比データには限界あり③
5.前年比データには限界あり④
コラム.移動平均という考え方
コラム.季節調整の必要がないデータ
コラム.指数に注意を払う
第3章 平均値という名の怪物
1.多くの経済データは「平均」である
2.株価は日本経済の実態を表すか?
3.低所得世帯にとってのインフレ率は3.8%ではなく6.6%である
4.95%の人は読み違えている実質賃金データ
コラム.全数調査と標本調査
第4章 実質データと名目データ
1.名目データを実質データに変換する
2.株価を実算値で見ると意外な風景が見えてくる!
3.「個人の株式保有が2倍になった」の嘘っぱち?
4.日米株の実質上昇率を比べる
5.輸出は果たして増えたのか
6.円安なのに輸出が増えないことに慌てた政府・与党
コラム.調査時期によりバイアス
第5章 政府統計の偽証・フェイクを暴く?
1.あのGNIはどこへ行った?
2.「インフレ目標2%」で迷走続けた日銀
3.消費税率の単純比較にダマされるな
4.食料自給率はカロリー単位でいいのか?
5.50%という所得代替率データは偽装されていた
6.現実からの乖離が目立つ各種政府統計
コラム.有効回答比率が低いデータのバイアスに注意
第6章 誤解だらけの労働・雇用データ
1.「雇用者が順調に増加」データには気をつけろ!(1)
2.「雇用者が順調に増加」データには気をつけろ!(2)
3.雇用者増加の4分の1は外国人だった!
4.雇用・労働・成長率を巡る謎を解く
5.本当に15%も実質賃金は下がったの?
コラム.労働生産性上昇に全く追いつかない実質賃金
6.失業率統計の虚々実々
7.求人倍率データに気をつけろ
第7章 多様な視点でデータを見る
1.GDPが伸びているのに景気がよくないって?
コラム.「成長率のゲタ」という摩訶不思議な現象
2.大企業に偏重するメディア情報
3.交通事故死亡者数データに2種類あり
4.「円安だけどドル高じゃない」ってどういうこと?
5.ひと足先に消費者物価の動きを知る方法教えます
6.事前予想値はどこにある?
コラム.日銀短観指数の予想値と実値の差に注目する
著者プロフィール
角川 総一(カドカワ ソウイチ)
昭和24年、大阪生まれ。証券関係専門誌を経て、昭和60年、(株)金融データシステムを設立し代表取締役就任。わが国初の投信データベースを開発・運営。マクロ経済から個別金融商品までにわたる幅広い分野をカバーするスペシャリストとして、各種研修、講演、テレビ解説の他、FP等通信教育講座の講師としても活躍。主要著書に、『為替が動くとどうなるか』(明日香出版社)、『バランスシート思考のすすめ』(PHP研究所)、『金融データに強くなる投資スキルアップ講座』(日経BP)、『日本経済新聞の歩き方』『よくわかる金利予想の教科書』(ビジネス教育出版社)等多数。




