国際日本学とは何か?
王 敏(著/文)
A5判 462頁 上製
定価 3,800円+税
ISBN 978-4-86251-155-3 C3036
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内容
日本、中国、韓国はいかに理解しあえるか? ますます多元的になる時代、東アジアにおいて「経済大国ニッポン」とは違った、まったく新しい「日本意識」を形成することができるのか。
本書は、日中韓の研究者による日本文化研究を収録。宮沢賢治の文学やアニメーション、京都学派の哲学・思想など、多角的に東アジアにおける日本意識を探求する。
東日本大震災を経て生まれ変わろうとする日本、そして国境を越えた相互研究の努力が、東アジア原風景の共有へと結実してゆく。
目次
序論
〇東アジア、中国における日本研究の現在 王 敏
─2011年度の研究活動を中心に─
第一部 中国における日本研究の現在
─『日本現代化歴程研究叢書』について
(2010年、中国・世界知識出版社刊行)─
〇中国日本史学会の成立と発展 何 山文(翻訳:相澤 瑠璃子)
〇近現代日本経済の発展段階的考察 郭 勇
─楊棟梁著『近現代日本経済史』の査読を通じて─
〇中国における日本政治研究の視座に関する一考察 及川 淳子
─王振鎖・徐万勝『日本近現代政治史』を読む─
〇対日警戒論の歴史的脈絡をたどる 馬場 公彦
─米慶余『日本近現代外交史』を読む─
〇経済的近代化と社会的近代化の均衡への問いかけ 李 潤沢
─李卓『日本近現代社会史』の意義と成果─
〇隣人の目線で見た『日本近現代文化史』 姜 克實
〇日本近代美術史に関する一考察 川邉 雄大
─彭修銀『日本近現代絵画史』を媒介として─
〇劉岳兵著『日本近現代思想史』について 陳 毅立
〇日本研究の可能性 劉 迪
─臧佩紅『日本近現代教育史』を媒介に─
〇中国における日本文学史研究の新展開 楊 偉
─王健宜『日本近現代文学史』をテキストに─
〇中国における近現代日中関係研究の発展と限界 王 雪萍
─最新日本研究成果『日本近現代対華関係史』を通じて─
第二部 東アジアの中の日本文化
─互いの「参照枠」として─
〇アニメーション映画「グスコーブドリの伝記」を制作して 杉井 ギサブロー
〇なぜ、「雨ニモマケズ」が読まれているのか 王 敏
─再生への日本文化の循環力─
〇宮沢賢治における生命倫理 金 容煥(翻訳:金 英美)
〇中国における宮沢賢治の翻訳と普及 雷 剛(翻訳:相澤 瑠璃子)
〇「雨ニモマケズ」 賈 〓萱(翻訳:朱 江)
─中日文化の相互補完関係について─
第三部 日中韓における「共通性」への探求
─「公共」という「公用語」に開かれた通路─
〇『朝鮮王朝実録』に見える「公共」の用例の検討 片岡 龍
〇儒学の民衆化と公共幸福 呉 端
─「士」、知識人、青年と民間社会の関係─
〇日中間の相互認識とパブリックディプロマシー(公共外交) 王 敏
─日中国交正常化40周年を迎える総合的討論を中心に─
〇日本最大の経済パートナー・中国経済をどう見る 西園寺 一晃
第四部 日中韓文化関係の原点
〇東アジアの宗教と社会 橋爪 大三郎
〇19世紀東アジア各国の対外意識の比較 王 暁秋(翻訳:玉腰 辰己)
〇朝鮮半島の言語と中国語からの借用語の関係 オリビエ・バイルブル
─語彙を手がかりとした通事的分析─ (翻訳:鈴村 裕輔)
終論
〇日中韓の歴史的文化的共有性 王 敏
─東アジア文化圏の接点─
著者プロフィール
【編著者】王 敏(わん・みん)中国・河北省生まれ。法政大学教授。比較研究(社会と文化)と日本研究、宮沢賢治研究が専門。2009年、文化庁長官表彰を受ける。主要著書『日本と中国─相互誤解の構造』、『宮沢賢治、中国に翔ける想い』、『宮沢賢治と中国』、『要訳 紅楼夢』、『東アジアの日本観』など多数。