足の指の変形はありませんか?
足の指は、ふだんは意識することはないと思いますが、非常に重要な役割を果たしています。
歩くときには、かかとから着地し、次に小指の側に体重がかかり、同時に第四指(手の薬指に相当)、中指、第二指(手のひとさし指に相当)が接地し、親指方向に重心が移動していきます。完全に親指が接地すると、親指を中心にして地面を蹴って、次の一歩を踏み出していきます。この重心移動を繰り返しながら、歩いているのです。
通勤電車の中でバランスを崩さないように踏ん張って立っているときも、足の指が大切になります。足の指の変形などで、足の指に力を入れて踏ん張ることができなければ、すぐにバランスを崩してしまいます。
指が反って地面から浮いている「浮き指」、指がねじれている「寝指」、指が屈曲している「屈み指」(いわゆるハンマートゥー)といった足の指の変形があれば、歩くときにスムーズな重心の移動が行われなかったり、踏ん張って立つときに足の指に力が入らず、足の裏だけで支えたりすることになります。
自分の足の指が変形していないかどうか、確認してみてください。
筑波大学名誉教授の浅見高明先生は、オリンピックのマラソンで連覇したエチオピアのアベベ・ビキラ選手の足型(フットプリント)をとられています。日本の選手との違いは、アべべ選手の足の指がまっすぐだということです。内反小指も外反母趾もなく、5本の指が実にまっすぐ、きちんと地面にくっついていたそうです。
足の指をまっすぐに伸ばして、本来のあるべき姿に戻していけば、歩き方も変わってきて、ひざや腰、首への負担も軽減されていきます。
足の指を動かし血流をよくしよう
足の指は、体の中でいちばんといっていいほど血液循環が悪くなりやすい場所です。とくに、小指を触ってみると、多くの方が冷たいと感じるのではないでしょうか。
雪山で遭難した登山家が、凍傷になって足の指を切断することもあります。それだけ、血流が悪くなりやすい場所なのです。
夜、足が冷えて眠れないという人は、寝る前に、足の指のストレッチを行いましょう。もちろん、足の指の変形がある方も、足の指をまっすぐに伸ばしていくよう、ストレッチを行ってください。
図のように椅子や床に座って、右手の指を、左足の足の指の間に入れます。最初からスムーズにできる人は少ないと思います。初めは痛く感じる方もいるでしょう。しかし、慣れてくるにしたがって、足の指の血行がよくなって足がポカポカしてくるのがわかるはずです。
次に、足の指をはさんだ右手にギュッと力を入れ握り締めるようにしてください。最初は痛く感じる方が多いと思いますが、慣れてくると気持ちよく感じてくるでしょう。
そして、左手で左の足首を押さえ、右手をグルグル回してください。
今度は、左手と右足で、同様に「足握手」を行ってください。
時間や回数にこだわる必要はありません。
お風呂の浴槽の中で行うとさらに効果的です。
ヒールの高い靴をはいた後や、長時間歩いたりした後にも行ってください。
また、足の指を反らすのも効果的です。座って、足の指を手で持って、甲の側に反らします。足の指1本ずつ行っても、5本まとめて行ってもけっこうです。
オフィフで椅子に座っている場合は、足を伸ばして、足の指先をすねに向かって反らすのも効果的です。ふくらはぎの刺激にもなります。
座ることができない状況なら、その場で、つま先立ち→かかとを床に着ける→つま先立ち→かかとを床に着ける……という動きを何度か繰り返しても、足の指を反らすのと同様の効果が得られます。
また、足の指と指の付け根が接する場所(指の股)に八風(はっぷう)というツボがあります。片足で4箇所、両足で8箇所です。東洋医学では、足先の冷えるタイプの冷え性によく使われています。ここを刺激するのも効果的です。リンパ液の流れもよくなります。
足の指の変形の原因は、ほとんどが靴と靴下です。足の指のストレッチを行うことも大切ですが、ふだんはいている靴と靴下を見直すことも大切です。
おしゃれな外見でも、足の指の変形を促すような窮屈な靴は、できるだけはかないようにしてください。また、靴下も、5本指の靴下にすると足の指が動かしやすくなります。