爪もみは、自律神経のバランスを整えて免疫力を十分に発揮させるために、最も手軽で効果の高い方法です。福田稔医師(福田医院)が考案しました。
福田医師は病院で、注射針やレーザーを用いて、手足の爪の生えぎわや、全身の治療点を刺激する「自律神経免疫療法」を行っていました。爪もみは、その家庭版といえるもので、病院でも患者さんに指導されていました。病院に通わずに、爪もみを行うだけで病気や不快症状が改善した例は、多数報告されています。
やり方は簡単です。
刺激する場所
両手の爪の生えぎわです。便宜上、親指の外側から順番に、1〜10と番号をつけて呼びます。
刺激のやり方
両手の爪の生えぎわを、反対側の手の親指と人さし指で両側からつまみ、押しもみする。右手の親指を刺激する場合は、左手の親指と人さし指で、右手の1・2をギュッとはさんで刺激します。厳密な位置にこだわらなくても、刺激は十分に伝わります。
両手の5本の指を、10秒ずつ刺激します。もみ方は、ギュッギュッと押しもみしても、ギューッと押し続けてもけっこうです。自分にとって「ちょっと痛いけど気持ちいい」くらいの刺激が得られるようにしましょう。
以上、ひととおり刺激しても、全部で2分ほどです。1日1〜2回、毎日続けましょう。
とくに下半身の症状を改善したい場合には、足の指ももむと効果的です。足の爪の生えぎわを、手の場合と同様に刺激します。
注意する点
爪もみ開始後に、一時的に痛みが出たり、症状が悪化することがありますが、これは病気がよくなる前の生理的な反応です。心配せずに続けましょう。
爪もみは効果の高い健康法ですが、これをやるだけですべてが解決するわけではありません。ストレスに対処する、規則正しい生活を送る、食生活を改める、適度な運動を行う、体を積極的に温めるなど、免疫力を正常に保つような生活習慣を心がけるようにしましょう。
薬指は交感神経を刺激する指なので、単独で刺激すると免疫力を低下させてしまう可能性があります。薬指だけを刺激することは避け、必ず、ほかの4本の指といっしょに刺激するようにしましょう。
爪もみが免疫力を高めるということは、福田医師が鍼灸学校に依頼して、学生を対象に行った調査でわかっています。
これは、
1)薬指を除く4本の指を刺激した場合(9例)
2)5本の指を刺激した場合(12例)
3)薬指だけを刺激した場合(10例)
の3群に分け、調査前後(4週間)の白血球の数と割合を調べたものです。
1)では、調査前の白血球総数が5500個、顆粒球の割合が54・5%、リンパ球の割合が35・7%、リンパ球数が1963個でした。
調査後には、白血球総数が5900個、顆粒球の割合が52・1%、リンパ球の割合が39・5%、リンパ球数が2330個となりました。
リンパ球の割合と数がふえ、免疫力が高まったといえます。
2)では、調査前の白血球総数が4444個、顆粒球の割合が55・5%、リンパ球の割合が42・8%、リンパ球数が1920個でした。
調査後には、白血球総数が6515個、顆粒球の割合が57・9%、リンパ球の割合が39・8%、リンパ球数が2579個となりました。
リンパ球の割合はへっていますが、正常範囲の35〜41%に入っています。これは白血球のバランスがよくなったことを意味します。注目すべきなのは、白血球総数が大幅にふえていることです。白血球総数は、5000〜8000個が正常値で、これが少ないと「生命力」も少ないといえます。白血球総数をふやすのはむずかしいので、この結果は意義があると思います。
そのため、リンパ球総数も大幅にふえています。
また、今回くわしいデータは示していませんが、5本指を刺激すると、リンパ球が多すぎる人は数と割合が減少する傾向が見られました。これは、正常範囲に近づくよう、バランスをとっているものと思われます。それに加え、開始前の白血球総数が少ない人ほど、白血球総数とリンパ球数がふえやすいという傾向もありました。
3)では、調査前の白血球総数が5600個、顆粒球の割合が51・9%、リンパ球の割合が37・3%、リンパ球数が2089個でした。
調査後には、白血球総数が6200個、顆粒球の割合が58・9%、リンパ球の割合が32・9%、リンパ球数が2040個となりました。
顆粒球の割合がふえ、リンパ球の割合がへるという傾向があり、薬指だけの刺激は要注意との結果が得られました。
以上のことから、5本の指を刺激すると、白血球総数をふやし、顆粒球とリンパ球のバランスを良好にする結果が得られました。今後も調査を続け、データをふやしていきたいと思います。