完訳 鍼灸甲乙経(上・下巻)
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東洋医学古典
年吉 康雄(訳), 皇甫 謐(著)
A5判 1086頁 上製
価格 16,500円+税
ISBN 978-4-86251-199-7 C3047
本書は256年頃、それ以前にまとめられた『黄帝内經』の『素問』、『鍼經(霊樞)』、さらに『明堂孔穴鍼灸治要』を加えた三部書を元に、当時の文献・理論を皇甫謐が整理したものである。その内容は陰陽五行説などの古代思想から、経穴や経絡に関する論説などに至るまで多岐にわたる。現存する最古の鍼灸古典といわれ、後の鍼灸理論に大きな影響を与えた。
目次
三部黄帝鍼灸甲乙經序
巻之一
第一、精神と五臓
第二、五臓の五変と五腧
第三、五臓六腑の陰陽表裏
第四、五臓と五官
第五、五臓の二十五変と六腑の関係
第六、十二原穴と臓腑の関係
第七、十二経水と十二経脉
第八、自然の四海と相応する人の四海との関係
第九、周身五十周する営気、周天二十八宿と衛気の運行関係、漏刻による営衛気の所在
第十、営気
第十一、営衛気と三焦
第十二、陰陽・清濁・精気・津液・血脉
第十三、津液から化生する五液の区別
第十四、奇邪と血絡の鍼刺
第十五、五色による診断
第十六、人の陰陽五態と陰陽二十五種の異なる形・性情・血気の関係
巻之二
第一上、十二経脉・絡脉と支別脉の走行
第一下、十二経脉・絡脉と支別脉の走行
第二、奇経八脉
第三、脉度
第四、十二経脉の標と本
第五、経脉の根と結
第六、経筋
第七、身体各部の骨度や腸胃の長度による受病の関係
巻之三
第一、頭部で正中から前髪際に沿って横に向かい頭維穴に至る両側の七腧穴
第二、頭部で鼻上の前髪際から入ること一寸から督脉上を後方に行き風府穴に至るまでの八腧穴
第三、頭部で督脉の外方一寸五分から後方に行き玉枕穴に至る両側の十腧穴
第四、頭部で両目直上の前髪際から入ること、五分から後方に行き脳空穴に至る両側の十腧穴
第五、頭部で耳上辺縁部を後方に行き完骨穴に至る両側の十二腧穴
第六、頭部で後髪際中央から横に向かって行く両側の五腧穴
第七、背部で第一椎から督脉走行上を下行して脊椎の尾骶に至るまでの十一腧穴
第八、背部で第一椎の両傍外側一寸五分から下行して尾骶に至るまでの四十二腧穴
第九、背部で第二椎の両傍外側三寸から下行して二十一椎下両傍部に至るまでの二十六腧
第十、面部の三十九腧穴
第十一、耳の前後部の二十腧穴
第十二、頚部の十七腧穴
第十三、肩部の二十八腧穴
第十四、胸部で天突穴から任脉を下行して中庭穴に至るまでの七腧穴
第十五、胸部で任脉の両傍外側二寸の兪府穴から下行して歩廊穴に至るまでの十二腧穴
第十六、胸部で兪府穴の両傍外側二寸の気戸穴から下行して乳根穴に至るまでの十二腧穴
第十七、胸部で気戸穴の両傍外側二寸の雲門穴から下行して食竇穴に至るまでの十二腧穴
第十八、腋下部と脇下部の八腧穴
第十九、腹部の鳩尾穴から任脉を下行して会陰穴に至るまでの十五腧穴
第二十、腹部の巨闕穴の両傍外側半寸の幽門穴から衝脉に沿って下行し横骨穴に至るまでの二十二腧穴
第二十一、腹部の幽門穴の両傍外側一寸五分の不容穴から下行して気衝穴に至るまでの二十四腧穴
第二十二、腹部の両乳頭線上で不容穴の両傍外側一寸五分の期門穴から下行して衝門穴に至るまでの十四腧穴
第二十三、腹部で章門穴から下行して居髎穴に至るまでの十二腧穴
第二十四、上肢部(臂)にある手太陰の十八腧穴
第二十五、上肢部にある手厥陰心包経の十六腧穴
第二十六、上肢部にある手少陰の十六腧穴
第二十七、上肢部にある手陽明の二十八腧穴
第二十八、上肢部にある手少陽の二十四腧穴
第二十九、上肢部にある手太陽の十六腧穴
第三十、下肢部にある足太陰の二十二腧穴
第三十一、下肢部にある足厥陰の二十二腧穴
第三十二、下肢部にある足少陰及び陰蹻脉と陰維脉の二十腧穴
第三十三、下肢部にある足陽明の三十腧穴
第三十四、下肢部にある足少陽及び陽維脉四穴の二十八腧穴
第三十五、下肢部にある足太陽及び陽蹻脉六穴の三十六腧穴
巻之四
第一上、経脉
第一中、経脉
第一下、経脉
第二上、病形の脉診
第二下、病形の脉診
第三、三部九候
巻之五
第一上、鍼灸禁忌
第一下、鍼灸禁忌
第二、九鍼・九変・十二節・五刺・五邪
第三、繆刺
第四、鍼道
第五、鍼道の終始
第六、鍼道の自然との逆順
第七、鍼道の外揣と縱放や舍止
巻之六
第一、八正・八虚・八風の病に関する大論
第二、逆順による病、本末の治療、五処方、形志の苦楽の病に関する大論
第三、五臓六腑の虚実による病に関する大論
第四、陰陽・清濁の気の順治と逆乱の病に関する大論
第五、四季における賊風・邪気による病に関する大論
第六、内外の有形と無形の診断、老・壮・肥・痩の鑑別、旦は軽く夜は悪化することなどに関する大論
第七、陰陽による病に関する大論
第八、正邪に侵襲され生じる夢に関する大論
第九、五味と五臓の関係とこれにより生じる病に関する大論
第十、五臓への病の伝播に関する大論
第十一、形と気・皮と肉・血気経絡と形の壽夭の関係、筋・骨・皮・肉の強弱と痛みとの関係に関する大論
第十二、形気の盛衰による病に関する大論
巻之七
第一上、六経が病を受け傷つき生じる寒熱病
第一中、六経が病を受け傷つき生じる寒熱病
第一下、六経が病を受け傷つき生じる寒熱病
第二、足陽明脉病で発熱して狂走する病
第三、陰気の衰えより発症する熱厥と陽気の衰えより発症する寒厥
第四、風に感受してなる太陽病と寒湿により発症する痙病
第五、陰陽上下が争い陰陽が偏って発症する三種の瘧疾
巻之八
第一上、五臓伝播病により生じる寒熱の病
第一下、五臓伝播病により生じる寒熱の病
第二、経絡が受病して腸胃に入り五臓に積して生じる伏梁・息賁・肥気・痞気・賁肫の病
第三、五臓六腑脹の病
第四、水腫・膚脹・鼓脹・腸覃・石瘕の病
第五、腎が風に遭遇して発病する顔面が腫れる風水の病
巻之九
第一、大寒が骨髄を侵犯して迫り、陽邪が逆行して頭痛を発症する病
第二、寒気が五臓六腑に邪客して生じる心痛・胸痺・心疝及び三蟲の病
第三、邪が肺を侵犯して五臓六腑に伝播し、気が上逆して咳嗽を生じる病
第四、肝が病邪に侵犯され、衛気が留まり積となり、胸や脇に脹満や痛みを発症する病
第五、邪気が心・胆〔膽〕や諸臓腑を侵犯して、悲・恐・太息・口苦・不楽や驚を発症する病
第六、脾が病邪に侵犯されて発症する、四肢が麻痺する病
第七、脾・胃・大腸が病邪に侵犯されて発症する、腹の脹満・腸鳴・息切れする病
第八、腎や小腸が病邪に侵犯されて発症する、腹の脹満や腰痛によりひびいて背中・下腹部・睾丸に痛みを生じる病
第九、三焦と膀胱が病邪に侵犯されて発症する、下腹部の腫れや小便困難となる病
第十、三焦機能が制約され閉塞して発症する、大小便が困難となる病
第十一、足の厥陰脉の病で、喜怒の感情を調節できずに、㿗疝、遺溺〔陰縦〕、小便不利〔癃〕を発症する病
第十二、足の太陽脉の病で、身体下部に発症する、痔や脱肛を生じる病
巻之十
第一上、陰分が病邪に犯されて発生する痺の病
第一下、陰分が病邪に犯されて発生する痺の病
第二上、陽分が病邪に犯されて発生する風の病
第二下、陽分が病邪に犯されて発生する風の病
第三、八虚が病邪に侵されて発生する引き攣り〔拘攣〕の病
第四、熱が五臓を攻めて発生する痿の病
第五、手の太陰・陽明・太陽・少陽の諸経脉に邪気が留まり、肩や背中に痛みを発生し、肩の前方や腕のすべてに及んで肩が抜けるように痛む病
第六、水漿が輸化されずに発生する 飲の病
巻之十一
第一、胸郭内に寒気を覚え発生する代脉となる病
第二、陽厥や大驚により発生する狂と癇の病
第三、陽脉の下墜や陰脉の上争により発生する尸厥の病
第四、胃腸の気が乱れ発生する嘔吐や下痢する霍乱の病
第五、足の太陰脉気が上逆して発生する溏泄や下痢となる病
第六、五穀気が溢れて生じる消渇や黄疸〔黄癉〕の病
第七、動作のほどあいを失い、身体の内外が損傷して発生する崩中・瘀血・嘔血・唾血の病
第八、邪気が胃の幽門部に聚結して発生する内癰の病
第九上、寒気が経絡中に留まって発生する癰疽、風邪により形成され発生する厲風や浸淫瘡の病
第九下、寒気が経絡中に留まって発生する癰疽、風邪により形成され発生する厲風や浸淫瘡の病
巻之十二
第一、欠・噦・唏・振寒・噫・嚔・軃・泣出・太息・涎下・耳鳴・囓舌・善忘・善饑を生じる病
第二、寒気が会厭に侵入し留まって発生する話せなくなる瘖の病
第三、目を閉じて眠れず・目が閉じて開かずに物を視れない・多眠・睡眠不安・横になって寝れない、肌肉の感覚がなくなり体が動かない〔肉苛〕、呼吸に音を生じる及び呼吸が急促になる症状を発生する病
第四、足の太陽経・足の陽明経・手の少陽経脉の変動により発生する目の病
第五、手の太陽経・手の少陽経の変動により発生する耳の病
第六、手足の陽明経脉の変動により発生する口歯の病
第七、血が溢れ発生する鼻中の出血する病付、鼻水と鼻茸
第八、手足の陽明経や手足の少陽経脉の変動により発生する喉痺や咽痛の病
第九、気結により発生する瘤癭の病
第十、婦人の雑病
第十一、小児の雑病
著者プロフィール
年吉 康雄(トシヨシ ヤスオ)
年吉鍼灸院・整骨院院長。昭和32年9月、宮崎県生まれ。昭和62年、行岡保健衛生学園柔道整復科入学。昭和64年行岡保健衛生学園柔道整復科卒業。この間、大阪の中村三郎先生、堺の竹中良富先生、高橋務先生に師事する。昭和64年、堺市に雇われ院長として東湊鍼灸整骨院を開院。平成5年、森ノ宮医療学園専門学校鍼灸科卒業。平成7年泉大津市に年吉鍼灸院・整骨院を開院。これまでに延べ20万人以上の患者を診てきた実践家。がん治療を得意としている。一念発起して『鍼灸甲乙経』の翻訳に人生を賭けて取り組む。
皇甫 謐(コウホ ヒツ)
皇甫謐(215〜282)は、安定郡朝那県人で、曾祖父は漢代末期に活躍した皇甫嵩。20歳まで放蕩の限りを尽くしたが、叔母に諭され学問の道に目覚め、百家の思想に通じた。その著作は『帝王世紀』や『玄晏春秋』など数多く、文学や歴史学に大きな影響を与えた。後に風病を患ったことをきっかけに医学の道に目覚めたという。『鍼灸甲乙經』は、256年頃、『黃帝内經』の『素問』、『鍼經(霊樞)』、『明堂孔穴鍼灸治要』を加えた三部書を元に、文献・理論を皇甫謐が整理したものである。現存する最古の鍼灸古典といわれ、後の鍼灸理論に大きな影響を与えた。現在の鍼灸治療の根幹をなす重要な文献である。