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友岡 史仁(著/文)
A5判   385頁  上製
定価 4,300円+税
ISBN 978-4-86251-143-0 C3032

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内容

電力・ガス、電気通信、鉄道、上下水道といった「ネットワーク産業」と称される諸分野では、「規制改革」や民営化等を契機にして、積極的な競争促進を狙いとした事業者に対する規制の存在が世界的なスタンダードとなっている。しかし、実際には、諸制度の複雑化とともに規制の在り方そのものが問われているのが現状である。
 こうした問題を扱った研究書は、これまでにも経済学者が中心となって公刊されてきた経緯がある。しかし、本書は、法学に携わる立場から、豊富な先例を有しかつ我が国における制度設計上も参照を不可欠とするイギリス・EU等の諸事例に照らしながら、ネットワーク産業における規制の在り方を制度に忠実に検証し、そこに見られる諸課題の解明を試みようとするものである。
 第1部では、これまでにも学説上混乱が見られる個別産業の根拠法(事業法)と競争法・独禁法の適用関係について、問題整理とあわせた法解釈の観点から論理的に解明し、第2部では、東日本大震災以降、原子力政策と並び、我が国が直面している政策課題である「発送電分離」について多様な法的視点を提示し、第3部では、EUにおける電力・ガス市場の自由化と並び、送配電網・ガスネットワークに対する「エネルギー供給保障」という観点から競争政策との調和的な制度を考察する。これらの内容は、研究・実務両分野において類書に見られない視点からの貴重な寄与となるだろう。

目次

はしがき
凡例

序章 ネットワーク産業の規制法理のとらえ方

1 ネットワーク産業の法関係
2 問題設定─本書の問題意識

第1部 分野横断的な規制法理

第1章 公益事業と競争法の相関関係

はじめに
 1 問題提起
 2 本章でのアプローチの方法─イギリス型モデル
第1節 相関関係を見る視点
 1 分類とその意義
 2 規制客体型分類と競争法・独禁法との関係(概要)
第2節 イギリス型モデルの検証
 1 検証の視点
 2 事業構造と事業規制
 3 イギリス競争法の規制構造と「競合的権限」
 4 競争法の適用事例─価格設定行為と供給拒絶を中心に
 5 事例検証
第3節 分野横断的な競争法・独禁法の適用課題
 1 日本型モデルのイメージ─イギリス型モデルとの対比
 2 独禁法と事業規制・事業法の関係
 3 複数にわたる違法行為類型の該当性
 4 残された課題
さいごに
 1 検証の意義と残された諸相
 2 多面的分析の必要性

第2章 ネットワーク産業における「競争対抗料金」の事例検討

はじめに
第1節 独禁法違反型訴訟における問題場面
 1 訴訟類型
 2 「競争対抗料金」の概念との関係
 3電力・ガス取引、電気通信各ガイドラインから
第2節 「競争対抗料金」に係る代表的訴訟事例
 1 位置付け
 2 排除措置命令等取消請求型東FTTH事件
 3 損害賠償・差止請求型─ヤマト運輸対日本郵政公社事件
さいごに

第3章 アクセス・チャージと事業法上の課題

はじめに
第1節 総論的検討
 1 費用算定方式の法制度上の根拠
 2 検討
第2節 各論的検討
 1 フォワード・ルッキング・コスト方式
 2 長期増分費用方式
 3 ユニバーサルサービスとの関係を中心に
さいごに

第2部 エネルギー分野から見た規制法理
─イギリスの事例を参考に

第1章 イギリスの電力・ガス事業分野からの示唆
はじめに─問題意識と検討枠組み
第1節 純粋構造規制との関係
 1 ガス事業分野における「所有分離」との関係
 2 「所有分離」に対する評価
第2節 「市場支配力」の行使に関わる問題
 1 合併事例─二大発電事業者とCentrica
 2 行為規制に関する事例─配電事業分野における濫用行為(United Utilities事件)
 3 検討
さいごに

第2章 「発送電分離」論の法的諸課題

はじめに
第1節 電力事業の基本構造に係る課題
 1 現状認識
 2 議論の特徴
第2節 制度変遷と制度構造の特質
 1 歴史的経緯と制度変遷
 2 競争政策上の評価
第3節 「発送電分離」論の法的課題
 1 課題一般
 2 イギリス型モデルの特徴点
 3 「発送電分離」の手段に係る法的問題の検討
さいごに

補論 日本型「発送電分離」論の概要と課題─電力システム改革委員会報告書を踏まえて
 1 問題提起
 2 実現化に対する諸課題─法的側面から
 3 競争政策実現方策に対する諸課題─送配電部門の在り方

第3部 ネットワーク産業と通商規制─エネルギー分野を中心に

第1章 EUにおけるエネルギー市場の統合とEC条約

はじめに
第1節 域内エネルギー市場の統合化と自由化の接点
 1 域内市場統合化の流れ
 2 『域内エネルギー市場報告書』における提言
第2節 電力・ガス事業における輸出入数量制限禁止規定の適用問題
 1 輸出入数量制限禁止規定の適用
 2 例外的許容
第3節 電力・ガス事業における「国家独占の調整」問題
 1 欧州委員会対オランダ他3事件(1997年)
 2 検証─電力・ガス事業規制とEC条約31(旧37)条(EU機能条約37条)との関係
第4節 リスボン条約とエネルギー政策
 1 前提
 2 規定の概要と評価
第5節 「越境取引」と競争政策の関係
 1 「越境取引」に係るEU法制
 2 優先的アクセス・長期契約に係る評価 W事件を中心に
 3 新規ネットワーク建設への投資インセンティブの確保
さいごに

第2章 エネルギー分野におけるWTO協定と地域貿易協定の役割

はじめに
第1節 WTO協定における地域経済統合の正当性
 1 正当化の根拠
 2 具体的効果
第2節 物品貿易の自由化との関係
 1 エネルギー分野との接点
 2 地域貿易協定の役割
第3節 サービス貿易の自由化との関係
 1 エネルギー分野とGATSとの接点
 2 エネルギー・サービス貿易と地域貿易協定
 3 エネルギー・サービス貿易の展望
さいごに

終 章 

 1 分野横断的な規制法理の課題
 2 エネルギー分野の規制法理における問題
 3 通商規制の枠組みと課題
 4 結びに代えて

参照文献一覧
索引

著者プロフィール

友岡 史仁(ともおか ふみと)

現 在 日本大学法学部准教授
専 攻 行政法、経済法

略歴
1973年 和歌山県生まれ
1997年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
1999年 慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了
2003年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学
日本大学法学部専任講師
2006年 日本大学法学部助教授

主著
『公益事業と競争法―英国の電力・ガス事業分野を中心に』(単著、晃洋書房、2009年)
『政策提言―公文書管理の法整備に向けて』(総合研究開発機構=高橋滋共編、商事法務、2007年)
『条解行政情報関連三法―公文書管理法・行政機関情報公開法・行政機関個人情報保護法』(高橋滋=斎藤誠=藤井昭夫編、弘文堂、2011年)
『行政サービス提供主体の多様化と行政法―イギリスモデルの構造と展開』(榊原秀訓編、日本評論社、2012年)