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早稲田大学大学院教授
小林 麻理 編著
A5判 並製 215頁
価格 2,800円+税
ISBN978-4-86251-146-1 C3033

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内容

 本書は、利益という定量的で明確な尺度が基本的に存在しない特質をもつ公共経営について、行政が、従来型の行政管理ではなく、市民社会ガバナンスの考え方を軸とする公共経営(Public Management)へと進化していることについてその基本概念を理解することを目的としている。
 企業経営の手法を政府に取り入れるニューパブリックマネジメントから、さまざまな市民社会の担い手との協働を促進するニューパブリックガバナンスへと進展していく過程で、PFIや市場化テストなど様々な行政運営手法が出現する。それのみならず、企業経営において会計が羅針盤の役割を果たすように、公共経営による改革には公会計改革が不可欠であり、その重要な成功要因である。この世界的動きの中で、日本の公共経営及び公会計改革がどのような背景を経て、現在どのような段階にあるのか、国、独立行政法人、地方を対象として、日本の現状を読者が把握し、課題について考える手がかりを提供する。さらに日本及び海外の取組について、事例を通じて理解を深めることを意図している。
(「はしがき」より)

目次

はしがき
 第1章 イントロダクション ─今なぜ公共経営と公会計改革が重要か
  1 政府/行政の課題とは:本書の基本的問い
  2 行政管理から公共経営へ
  3 公共経営とは:本書の目的と構成
  column 4条公債、特例公債とは
  column アカウンタビリティ

第1部 公共経営と公会計の基本的考え方
 第2章 公共経営の基本的考え方
  1 オープンシステムとしての政府と公共経営の特質
  2 公共経営改革モデル
  3 公共経営改革の4パターン
  4 新しい公共経営の考え方 ─ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)
  5 従来の行政管理、新しい公共経営、さらに新しい公共サービスへ
  column NWS(ネオウェーバー主義国家)とは

 第3章 公共経営の変容と公会計改革
  1 公共経営における公会計の役立ちとは
  2 これまでの行政運営における会計の役立ち ─予算改革と会計の機能
  3 地方自治体の行政経営における公会計の機能
  4 公共経営の変容における会計学の機能
  (1)公共経営の変容とは何か
  5 公共経営の変容において会計はいかなる機能を果たし得るのか
  6 公共経営の変容における会計学の課題

 第4章 公会計改革の基本的考え方
  1 わが国地方政府の公会計改革略史
  2 わが国の地方政府の官庁会計が抱える課題
  (1)第1群:ストック情報とコスト情報の欠如
   1-1 ストック情報の欠如
   1-2 コスト情報の欠如
  (2)第2群:アカウンタビリティ(説明責任)とマネジメントの欠如
   2-1 アカウンタビリティの欠如
   2-2 マネジメントの欠如
  (3)第3群:検証可能性の欠如
  3 イギリスと韓国からの教訓
  (1)イギリスからの教訓 1「会計による管理の徹底」
  (2)イギリスからの教訓 2「政府サービス改善運動」
  (3)イギリスからの教訓 3「政府会計の政治性」
  (4)韓国における地方政府改革からの教訓
  4 公会計改革の基本的考え方
  (1)官庁会計にみる欠如から学ぶべきこと
  (2)公会計改革の先進国からの教訓から学ぶべきこと
   (1) 「会計による管理」を徹底すること
   (2) 会計改革は「政府サービスの改善運動」であること
   (3) 会計改革は政権によって左右されること
   (4) 政府の強力なリーダーシップが重要である

 第5章 公共経営改革と公会計改革の世界的潮流
  1 ニュー・パブリック・マネジメントの世界的潮流と特質
  2 米国における結果指向の政府マネジメントの進展
  (1)米国連邦政府における公共経営と公会計改革
   I GPRAの目的
   II GPRAにおける戦略計画と業績評価の内容
   1)戦略計画
   2)業績計画と業績報告書
   III GPRAの実施ステップ
   IV 米国会計検査院によるGPRAの実践
  (2)米国地方政府におけるマネジメント改革のフレームワーク
  3 英国の資源会計予算における管理会計の機能
  (1)英国における結果指向の政府マネジメント改革
  (2)資源マネジメントのフレームワーク
  4 ドイツにおける公共経営と公会計改革
  (1)ドイツにおいてNPMの取組はなぜ遅れたか
  (2)1990年代における抜本的な変革─NPMへ─
  (3)ドイツ版NPM─ニュー・ステアリング・モデル
   I ティルブルグモデルとは何か
   II NSM推進における自治体共同機構の機能と貢献
   III ハードからソフトの改革の必要性

第2部 日本における公共経営と公会計改革
 第6章 日本における行財政改革の基本問題
  1 国の課題:財政構造改革から小泉改革、そして新たな公共へ
  (1)わが国の財政の状況
  (2)1975年以降、国債大量発行時代へ
  (3)バブル崩壊と財政構造改革
  (4)小泉内閣の構造改革とNPM
  (5)民主党政権と新しい公共
  2 国における公会計改革の歩み
  (1)行政改革の進展と公会計制度の整備
   i)行政改革と公会計制度
   ii)公会計制度見直しに向けた体制整備と基本的考え方
  (2)公会計制度整備への取組
   i)国の貸借対照表の作成
   ii)独立行政法人の会計基準
   iii)特別会計財務書類作成基準の制定
   iv)省庁別財務書類の作成
   V)政策別コスト情報の把握と開示
  3 地方の課題:地方分権改革の推進と求められる行財政改革
  (1)地方分権改革と地方自治体の現状
   i)地方制度の現状の問題点
   ii)基本方針2006
  column 夕張破綻と財政健全化法
   iii)基本方針2007
   iv)基本方針2008
  column 地方の財政依存?地方交付税措置と臨時財政対策債
   v)民主党への政権交代後
  4 行政改革大綱、集中改革プラン、地方行革新指針等による行政改革の方向性(人件費改革)、公共サービス改革、地方公会計改革
   i)行政改革大綱
   ii)集中改革プラン
   iii)地方行革新指針
   iv)その後
  5 公会計改革、マネジメント改革(行政評価等)の必要性:財務書類の作成状況、行政評価の実施状況調査による現状把握
  (1)地方公共団体の財務書類の作成状況等
   i) 平成22年度版財務書類の作成状況
   ii)活用状況
  (2)行政評価の実施状況
   i)行政評価の実施状況
   ii)評価結果の活用方法

 第7章 日本における公共経営と公会計改革の歩み
  1 独立行政法人制度
  (1)独立行政法人とは
  (2)独立行政法人制度の法体系
  (3)独立行政法人制度の特徴
   i)業務の効率性及び質の向上
   ii)法人の自律的な業務運営
   iii)業務の透明性
   iv)業務の自主性
  (4)独立行政法人の評価制度
   i)業務実績評価
   ii)中間目標終了時の見直し等
   (1) 主務大臣の検討
   (2) 府省評価委員会の評価
   (3) 政策評価・独立行政法人評価委員会の評価
  (5)独立行政法人通則法の改正状況
  2 独立行政法人の会計
  (1)独立行政法人会計の位置づけ
   i)独立行政法人会計の特徴
   ii)複数の会計基準
  (2)独立行政法人会計における財務諸表v   i)損益計算書
   ii)貸借対照表
   iii)キャッシュフロー計算書
   iv)利益の処分又は損失の処理に関する書類
   v)行政サービス実施コスト計算書
   (1)業務費用
   (2)法人の責任ではないが国民負担となる費用
   (3)機会費用
   (4)固定資産の減損額、資産除去債務にかかわる減価償却及び利息費用相当額
   vi)附属明細書、決算報告書
  (3)独立行政法人特有の会計処理
   i)運営費交付金の会計処理
   ii)特定資産の減価償却
   iii)減損会計の導入

 第8章 公会計と予算制度改革
  1 わが国における公会計と予算制度
  (1)公会計と予算制度改革
  (2)NPMと機能しない業績評価システム
  (3)予算編成と業績評価の統合化へのアプローチ
  (4)予算の機能と事業の作りこみ
  2 予算企画の事例
  (1)大阪府八尾市における取組み
  (2)八尾市における予算編成プロセス
  (3)調整活動と会計情報
  3 予算編成における調整の意義と会計情報
  4 予算制度の効果的な運用に向けて

第3部 公共経営と公会計改革の実践例
 第9章 日本における公共経営と公会計改革の実践例(静岡県─「変える」ための改革─)
  1 行政改革の背景
  2 リエンジニアリングをテーマとする行政改革
  (1)施策展開表(平成9(1997)年度?なお、23(2011)年度までは「業務棚卸表」)
  (2)ひとり1改革運動(平成10(1998)年度?)
  (3)県民参加型の事業仕分け(平成21(2009)年度以降・県民参加型に大きくシフトしたのは平成23(2011)年度から)
  3 行政改革の成果 ?どれだけ変わったか?

 第10章 日本における公共経営と公会計改革の実践例(北上市)
  1 背景
  2 行財政改革の経緯
  3 北上市における構造的改革への挑戦
  (1)役割検証
  (2)サービスへの公費投入水準
  4 北上市における経営改革
  (1)受益と負担の概念
  (2)具体的見直しのプロセス
  (3)先送りできない負担への対応
  (4)改革内容
  5 行財政改革と公会計改革
  (1)公会計改革の必要性
  (2)今後の課題

 第11章 日本における公共経営と公会計改革の実践例(宇城市)
  1 背景
  2 財務内容
  3 具体的施策
  (1)「施設白書」
  (2)「施策別財務書類」
  (3)「固定資産管理台帳」
  (4) 包括年次財務報告書(アニュアルリポート)
  4 貸借対照表でみてみる

 第12章 海外における公共経営と公会計改革の実践例(米国・ポートランド市)
  1 米国におけるMfRへの動き
  2 MfRの意義
  3 ポートランド市におけるMfRモデル
  (1)ポートランド市におけるMfRへの取組
  (2)MfRモデルの基本要素v  (3)ポートランド市におけるMfRモデル  column ポートランドの市民参加を支えるネットワーク

 第13章 海外における公共経営と公会計改革の実践例(カナダ・オンタリオ州)
  1 オンタリオ州地方政府における業績測定プログラム
  2 MPMPにおける目的と業績評価指標の明確化
  3 MPMPにおける業績評価指標のカスタマイズ

 第14章 海外における公共経営と公会計改革の実践例(韓国)
  1 韓国における公会計改革
  2 韓国における公会計制度改革の推進
  (1)公会計制度改革の背景
  (2)公会計制度改革の指針
  (3)公会計制度改革の推進
  3 地方自治体における公会計改革の推進:富川市の事例
  (1)地方自治体における公会計改革
  (2)富川市における複式簿記会計の推進
  (3)原価計算準則の導入推進
  4 韓国における公会計改革からの示唆

執筆者紹介

著者プロフィール

早稲田大学大学院政治学研究科教授、早稲田大学パブリックサービス研究所所長。
著書に『政府管理会計』敬文堂(2002年)、共著『公会計改革』日本経済新聞社(2006年)、編著『地方自治体は重い負担に耐えられるか』早稲田大学出版部(2011年)など。