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菱田 雅晴 編著
A5判   520頁  上製
定価 6,000円+税
ISBN 978-4-86251-125-6 C3031

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内容

中国共産党は1970年代の改革開放政策着手によってもたらされた内外環境の激変から危機的様相を強めたが、存続自体が危殆に瀕しているのだろうか。それとも変化を好機として存在基盤をより強固なものにしているのか。

目次

序章 中国共産党のサバイバル戦略─序に代えて─ /菱田 雅晴
一、今なぜ党なのか
二、党を俎上に載せる
三、中南海研究
四、黄昏(=ダスク)か、黎明(=ドーン)か
五、“サバイバル戦略”とは?
六、本書の構成
七、サバイバル戦略のゆくえ

第一部 中国政治の中の党
第一章 データから解析する中国共産党の変身/毛里 和子
一、はじめに
二、二〇一〇年末の中国共産党
(1)高学歴化とエリート化
(2)党の予備軍─共産主義青年団
(3)中国社会の階層化状況
三、新しいアクターの登場─私営企業家と党
(1)新階層─私営企業家
(2)私営企業家の政治指向
(3)ディクソンが描く私営企業家像
(4)補足的データ─全国人民代表大会と党
四、データ解析による初歩的な観察
五、補足─政治的データにかかわる問題
(1)中国の公式データの問題性
(2)中国における党のデータ批判

第二章 党中央の研究機関─「学習型政党」建設と“調研”活動─/朱 建榮
一、はじめに─問題意識
二、「学習型政党」コンセプトの提起とそれをめぐる新しい動向
(1)「学習」を重視する伝統と「学習型政党」建設の目標提出
(2)「学習型政党」建設を提起した背景と中身
三、党中央の研究調査の新しい動向(1)─直属の研究機関
(1)党中央に直属する機構の分類 73/?各研究機関の機構調整と研究動向
四、党中央の研究調査の新しい動向(2)─直属の業務機関
五、まとめ

第三章 中国におけるガバナンス─中国共産党の位置と能力─/高原 明生
一、はじめに─中国におけるガバナンス
二、高層のガバナンス─中央の意思決定過程と党・国家関係
三、中層のガバナンス─地方党委員会の執政能力
(1)主要問題
(2)原因
(3)対策
四、基層のガバナンス─都市における社区の自治と党の領導
五、おわりに

第四章 転型・吸収・浸透─党の組織技術の変遷と課題─/景 躍進
一、はじめに
二、“民主政治の論理”の挑戦に如何に対応するか
三、“市場経済論理”の挑戦に如何に対応するか
四、“複雑化した社会の論理”の挑戦に如何に対応するか
五、若干の結論
(1)党の自己調節
(2)汎用モデルの不在
(3)同趣の思考、原則
(4)資源統御能力と対応効果の連繋
(5)対応戦略と“共謀”関係
(6)対応戦略の双方向の影響
六、展望

第二部 制度の中の党─制度分析
第五章 経済発展、地方政府のガバナンスと中国共産党/加藤 弘之
一、はじめに
二、経済システムの三つの特徴
三、地方政府のガバナンスに現れた中国的特徴
(1)中央政府と地方政府の関係
(2)「縦向きの請負」と「横向きの競争」の高度な統一
(3)「包」の倫理規律
(4)地方政府のガバナンスの優位点と問題点
四、共産党組織のガバナンス
(1)「一把手」体制の確立と問題点
(2)経済至上主義の出現と幹部の評価・選抜システム
(3)新しい評価システムの模索
五、移行期の地方政府・党のガバナンス
(1)必要とされる移行期のガバナンス
(2)「河長制」の試行をめぐって

第六章 農村基層組織改革の進展と党支部 大島─経済発展と組織の多様化の中で─ /大島 一二
一、はじめに
二、農村基層組織の改革の進展
(1)中国農村における郷鎮政府の機構改革
(2)郷鎮政府機構改革の実態
(3)村民委員会改革の進展
(4)村民委員会と農民の農地請負権
三、農村の新経済組織と党支部
(1)農民専業合作社の展開
(2)山東省莱州市の事例
(3)海南省澄邁県の事例
(4)山東省乳山市の事例
四、まとめにかえて

第七章 中国共産党権力の根源─「人材的保障措置」の視点から─ /諏訪 一幸
一、問題の所在
二、新党員の確保
(1)七大期(一九四五年四月?一九五六年九月)
(2)八大期(一九五六年九月?一九六九年四月)
(3)文革期(一九六九年四月?一九八二年九月)
(4)改革開放期(一九八二年九月?現在)
三、党機関専従党員職員の採用と昇進
(1)採用の制度化プロセスと党政合一体制の確立
(2)採用
(3)昇進
四、おわりに

第八章 党政分離の政治過程─中ソ比較の試み─/中居 良文
一、はじめに
二、中ソ比較の利点
(1)唯我独尊的議論の回避
(2)比較の有用性
(3)政治過程比較の可能性
三、ソ連における党政分離の展開
(1)党政分離の開始
(2)党政分離の進展
(3)党政分離の結果
四、中国における党政分離の展開
(1)党政分離の開始
(2)党政分離の進展
(3)党政分離の挫折
五、ポスト天安門時代の党政分離
(1)ポスト天安門時代の党
(2)ポスト天安門時代の経済
(3)ポスト天安門時代の党政分離
六、おわりに

第九章 現代中国における維権運動と国家/呉 茂松
一、はじめに
二、「維権」の提起から定着
(1)用語の説明(語義、品詞、関連用語)
(2)「維権」用語の出現、適用範囲の拡大、「維権元年説」
(3)維権が提起された時代背景と必要条件
(4)維権行為の内容とその変化
(5)維権運動の定義、性質
三、維権観をめぐる諸議論
(1)社会側の維権観
(2)体制側の維権モデルと維権観
(3)維権観に見る国家と社会の隔たり
四、結びに代えて

第三部 社会の中の党─ミクロ調査の分析結果
第十章 エリート層における党の存在─中国エリート層意識調査(二〇〇八?九)に基づいて─/小嶋 華津子
一、はじめに
二、先行研究と本調査の意義
三、調査の概要
四、調査結果
(1)知識エリート集団における「社会主義」認識の揺らぎ
(2)共産党の領導に対する党員─非党員間の認識の相違
(3)党員世代間の認識の隔たり
五、おわりに

第十一章 一般党員の意識・行動から見る中国共産党の執政能力─上海市民調査から─/南 裕子
一、はじめに
二、共産党員をめぐる先行研究と本稿の課題
(1)党員の社会的経済的特徴について
(2)党員の政治意識、社会意識について
(3)本稿の位置づけと課題
三、共産党の求心力
(1)入党理由─何が人々を引き付けるのか?
(2)党員としての固有性
四、党員と非党員との境界の曖昧さ─党員の多様性
(1)生活にかかわる諸問題解決のための政策の成果についての評価
(2)社会の不公平への問題意識─司法の不公平に関する設問
(3)居民委員会、社区自治の現実への評価
(4)党員の多様性
五、非党員からのまなざし─社会の中の党員、党組織
六、おわりに

第十二章 基層社会と党─上海市民意識調査から─/中岡 まり
一、はじめに
二、単位党員と社区党員
(1)上海市党委の課題─単位党員の「社区党員化」
(2)属性
(3)社会認識と共産党員であることの意義
(4)居民委員会に対する認識と行動
三、住民構成の異なる社区における党建工作
(1)住民構成と政策実行の困難さ
(2)社区の性質と党の浸透
四、おわりに

第十三章 中国のNGO職員の政治意識は革新的か─二〇〇九年アンケート調査から─/阿古 智子
一、はじめに
二、中国のNGO
三、調査の実施方法
四、アンケート調査の結果
(1)政治への関わり方・関心を置く政策課題
(2)社会主義・共産党に対する見方
(3)回答者の所得、政治身分、NGOの規模、登録形態別の分析
五、おわりに

あとがき/菱田 雅晴
執筆者略歴
図表一覧
索引